著作権侵害差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 スウェーデンの写真家である原告が、北野天満宮で紅梅と着物姿の女性2名が参拝する風景を撮影した写真(2014年3月撮影)について、訪日外国人向け旅行情報サイト「Japan Travel」を運営する被告会社が、同サイト上に原告写真を無断で複製・掲載したとして、著作権(複製権・公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権・同一性保持権)の侵害を理由に、写真の複製・自動公衆送信等の差止め並びに損害賠償金約33万9000円等の支払を求めた事案である。被告サイトでは、会員が記事や写真を投稿し、「地域パートナー」と呼ばれる者が内容を審査・承認した上で掲載する仕組みがとられていた。被告写真は会員が2018年10月頃に投稿したもので、原告写真の左右を一部切除したものと原告写真に基づく写真の2点が、原告の氏名表示なく約2年間掲載された。被告は2020年10月に原告からの警告を受けて写真を削除したが、侵害を否認し、複製・公衆送信の主体は投稿した会員であると争った。 【争点】 主な争点は、(1)被告が複製及び公衆送信の主体といえるか、(2)差止めの必要性、(3)不法行為の成否及び損害額であった。被告は、写真は会員が自発的に投稿したものであり、記事の審査・承認を行う地域パートナーもボランティアであるとして、被告は著作権侵害の主体ではないと主張した。 【判旨】 裁判所は、被告が複製・公衆送信の主体であると認定した。その理由として、本件ウェブサイトは被告の旅行関連事業の営業目的で設けられた性質を有すること、会員規約上も被告がコンテンツを審査・編集・監視する旨の規定があること、実際に会員が投稿した記事は地域パートナーの承認がなければ掲載されない仕組みであることを指摘した。そして、地域パートナーはボランティアであったとしても被告の履行補助者とみるのが相当であり、被告の営業のために記事内容を広く審査して承認するという作業を経て写真がサーバーに蔵置・送信可能化された以上、被告が複製・公衆送信を行ったと認めるべきであるとした。著作者人格権侵害についても同様の理由で被告の侵害を認めた。差止めについては、被告が侵害を否定していることから必要性を認めた。損害額については、日本写真家ユニオンの使用料規程を参酌し、商用目的のHP掲載2年間の使用料7万円を基準としつつ、記事末尾に6枚中の1枚として表示された使用態様等を考慮して著作権侵害の損害を4万円、著作者人格権侵害の慰謝料を2万円、弁護士費用を1万円と認定し、合計7万円の損害賠償を認容した。