AI概要
【事案の概要】 写真家である原告は、平成25年9月に撮影した写真(本件写真)を写真投稿サイト「flickr」に掲載していたところ、ドライヘッドスパ・フェイシャル専門店を経営する被告が、平成28年10月、原告に無断で本件写真と同一の写真を自身の店舗宣伝用ウェブサイトに掲載し、約4年間にわたり使用し続けた。原告は、令和2年8月に内容証明郵便で削除と損害賠償を求め、被告は掲載を中止したものの、著作権侵害の事実自体は認めなかった。そこで原告は、著作権(複製権・公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権)の侵害を理由に、差止め並びに損害賠償(ライセンス料相当額23万7554円、慰謝料5万円、弁護士費用5万円の合計33万7554円)を求めて提訴した。 【争点】 主な争点は、(1)被告がウェブサイトの運営主体であるか(被告は運営者はDという法人であると主張)、(2)被告に著作権侵害の過失があるか(被告は「無料画像素材」と検索して見つけた写真であり過失がないと主張)、(3)損害額の算定方法、(4)原告の権利行使が「コピーレフトトロール」に該当し権利濫用に当たるか、の4点である。被告は、原告がクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを利用して写真を公開し、無断利用を発見しては高額な賠償を請求する行為は権利濫用であると主張した。 【判旨】 裁判所は、まず本件写真の著作物性を認めた上で、ウェブサイトの「オーナープロフィール」欄に被告自身の顔写真や氏名が掲載されていること等から、被告が本件サイトの運営主体であると認定した。過失については、flickr上の掲載ページに「Some rights reserved」(一部権利留保)と明記されており、クリックすれば詳細なライセンス条件が表示される状態であったことから、被告には少なくとも過失があったと判断した。米国著作権登録の時期は過失の有無を左右しないとした。損害額については、fotoQuoteの料金表に基づき地域市場向けウェブサイトとして計算した1272米ドル(約13万8609円)を基礎としつつ、諸般の事情を考慮してライセンス料相当額15万円、慰謝料5万円、弁護士費用2万円の合計22万円を認容した。差止請求については、被告が現在も著作権侵害を争っていることから侵害のおそれがあるとして認容した。権利濫用の抗弁については、被告に過失が認められること、認定された損害額が市場価値に見合わないほど高額とはいえないこと等から、これを排斥した。