AI概要
【事案の概要】 本件は、被告(Amazon.co.jpを運営する合同会社)が運営する電子商取引サイトにおいて、原告が平成28年6月に充電式モバイルバッテリー(車用ジャンプスターター)を7999円で購入したところ、翌年の平成29年11月に当該バッテリー内部の電極板の短絡により原告の居宅で火災が発生し、居宅の一部が焼損するとともに多数の家財に損傷が生じた事案である。原告は火災保険から合計約737万円の保険金を受領し、さらにバッテリーの製造元である中国法人(オーキー)との間で和解を成立させ約184万円の和解金を受領していたが、なお残る損害について、被告に対し、第一次的にプラットフォーム利用契約上の債務不履行に基づき30万円の損害賠償を、第二次的に不法行為に基づき慰謝料30万円を、第三次的に商法14条又は会社法9条の類推適用により販売者と連帯しての債務不履行責任に基づく30万円の損害賠償を、それぞれ求めた。 【争点】 ①プラットフォーム利用契約に基づく信義則上の義務(出店・出品審査義務及び保険・補償制度構築義務)の違反による債務不履行責任の有無、②出品者の特定商取引法上の表示に関する体制構築義務違反による不法行為責任の有無、③商法14条又は会社法9条の類推適用により被告が販売者と連帯して責任を負うか。 【判旨】 裁判所は、原告の請求をいずれも棄却した。争点①について、原告が根拠とする消費者委員会の報告書は本件売買契約の約2年10か月後に作成された「提言」にすぎず、出品審査義務の裏付けとはならないとした。また、リチウムイオンバッテリーの安全認証制度も本件当時は取得が法的に義務付けられていなかったことから、被告に審査義務を認めることはできないとした。保険・補償制度構築義務についても、被告が採用済みのマーケットプレイス保証制度が報告書の提言に沿うものであり、それ以上の制度構築を義務付ける根拠はないとした。争点②について、出品者への連絡先として電話番号と連絡用フォームが用意されており、原告は現にフォームを利用して製造元と連絡を取り和解を成立させていることから、特商法表示の不備や被告の義務違反は認められないとした。争点③について、原告が本件売買契約時にバッテリーの販売者を被告と誤認していたことを認めるに足りる証拠はなく、むしろ火災後の対応からは販売者がオーキーであることを当初から認識していたことがうかがえるとして、名板貸責任の類推適用を否定した。