大規模投資詐欺被害による損害賠償請求事件、損害賠償請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告ら(174名)は、平成20年5月から平成27年10月にかけて、被告田原証券の勧誘を受け、外国会社であるOPM社及びMTL社が診療報酬債権を裏付資産として発行する社債(いわゆるレセプト債)を取得した。しかし、OPM社等を実質的に支配するオプティ社は、社債発行により調達した資金の大部分を診療報酬債権の買取りに充てず、関連会社への投融資等に流用していた。平成27年11月、オプティ社及びOPM社等が相次いで破産手続開始決定を受け、本件各社債は償還不能となった。原告らは、社債の取得金額相当額等の損害を被ったとして、被告田原証券に対しては調査義務違反等による不法行為等に基づき、被告新宿会計及び被告青山会計に対してはOPM社・MTL社との管理契約上の義務違反による幇助の不法行為等に基づき、被告田原証券の代表取締役であった被告2に対しては会社法429条1項に基づき、アーツ証券の取締役であった被告17に対しては不法行為等に基づき、それぞれ損害賠償を求めた。 【争点】 主な争点は、(1)被告田原証券が本件各社債の裏付資産の実在性を調査すべき義務を負っていたか、(2)被告新宿会計がオプティ社の不法行為を幇助したといえるか、(3)被告青山会計について同様に不法行為が成立するか、(4)被告17がOPM社の財務状況の問題を認識していたか、(5)被告田原証券役員らの監視義務違反の有無、(6)損害額であった。 【判旨】 裁判所は、まず被告新宿会計について、OPM社の預金口座から診療報酬債権ではない社債購入資金の支払をし、会計帳簿における診療報酬債権の架空計上を継続したことが、オプティ社の不法行為を容易にしたと認定した。税理士である実務責任者において、OPM社が社債で調達した資金の大部分を診療報酬債権の買取り以外に支出していることを容易に認識できたとして、過失による幇助の不法行為の成立を認めた。被告青山会計についても、MTL社との管理契約に基づく同様の幇助責任を肯定した。被告17については、平成25年5月頃にOPM社の償還原資不足を認識しながら販売を継続させた不法行為責任を認めた。被告田原証券については、本件各社債が少人数私募の形式で発行され開示規制の適用を受けないものの、10年以上にわたり607ものシリーズに分けて発行された実態に照らし、開示規制の趣旨が実質的に妥当しないとした上で、遅くとも平成26年1月23日の時点で裏付資産の実在性を調査すべき信義則上の義務を負っていたと判断した。調査義務を履行していれば同日以降の私募取扱いはなされなかったとして因果関係を肯定した。被告2についても代表取締役としての重過失を認め、会社法429条1項の責任を肯定した。他方、虚偽表示、断定的判断の提供、説明義務違反、適合性原則違反の各主張は排斥し、被告4・5・6ら他の取締役の責任及び過失相殺・寄与度減責の主張も認めなかった。