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下級裁

損害賠償請求事件

判決データ

事件番号
平成28ワ762
事件名
損害賠償請求事件
裁判所
鹿児島地方裁判所
裁判年月日
2022年4月20日
裁判官
坂庭正将

AI概要

【事案の概要】 本件は、B病院に医師として勤務していた原告(当時25歳)が、頭痛等を訴えて同病院で検査を受けたところ、頭部MRI検査で右側頭葉にリング状増強効果を伴う腫瘤性病変が発見され、脳腫瘍の疑いで入院した後、鹿児島大学病院(鹿大病院)脳外科のD医師の診察を受けた事案である。D医師は悪性グリオーマ(膠芽腫)を疑い、定位的生検術を予定して同月17日の入院を計画したが、その間にB病院でステロイド等の投与を受けていた原告は、同月16日に意識を失って昏睡状態に陥り、鹿大病院に緊急搬送された。緊急手術の結果、病変の正体は脳膿瘍(溶血性連鎖球菌による細菌感染)であることが判明した。原告は開頭手術を受けたものの、脳ヘルニアにより意識障害・運動障害等の重篤な後遺障害が残存した。原告は、B病院を設置運営する被告A及び鹿大病院を設置運営する被告国立大学法人鹿児島大学に対し、債務不履行に基づき約4億1253万円の損害賠償を請求した。 【争点】 ①被告鹿大(D医師)の過失の有無(脳膿瘍を疑って抗菌薬投与・穿刺排膿術を実施すべき注意義務違反の有無、ステロイド投与に関する過失の有無)、②被告A(B病院医師ら)の過失の有無、③因果関係の有無、④損害額。 【判旨】 裁判所は、被告ら双方の過失及び因果関係を認め、連帯して約3億2714万円の支払を命じた。 争点①について、造影MRIのリング状増強効果に加え、拡散強調像で病変内部が明瞭な高信号を示し、かつCT・T1強調像に出血所見がなかったことから、当時の医学的知見に照らせば脳膿瘍の疑いが高いと診断すべきであったと認定した。被告らが主張した感染症症状の欠如、先行感染因子の不在、若年であること等の事情は、いずれも脳膿瘍の可能性を否定する特段の事情には当たらないと判断した。さらに、病変径が約35〜38mmに達し脳室穿破の現実的危険が切迫していた以上、確定診断を待たず直ちに抗菌薬投与及び穿刺排膿術を実施すべき義務があったとした。 争点②について、B病院の医師らも同様に脳膿瘍の高い疑いをもって治療開始措置を講ずべき義務を負っていたにもかかわらず、膠芽腫の疑いとの誤った情報を提供した過失を認めた。 争点③について、治療開始時に意識清明であった症例の致死率は0%との報告があること、起因菌が経験的投与される抗菌薬に感受性を有していたこと等から、本件診察時点で直ちに治療を開始していれば脳ヘルニア及び後遺障害の発生を避けられたと認め、相当因果関係を肯定した。 損害については、逸失利益約2億0390万円(基礎収入は賃金センサスによる男性医師の平均賃金)、将来医療関係費約6312万円、後遺障害慰謝料2800万円等を認めた一方、将来介護費は完全看護体制を理由に否定した。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。