AI概要
【事案の概要】 原告(中国・上海所在のオンラインゲーム会社)は、自社が制作したオンラインゲーム「A」のゲーム内画像(原告画像1〜8)について、被告(香港所在のオンラインゲーム会社)が制作・日本国内で配信したオンラインゲーム「B」のゲーム内画像(被告画像1〜7)が原告の著作権(複製権又は翻案権)を侵害すると主張した。また、被告がFacebook上の公式ページにインラインリンクを設定して被告画像1を表示させた行為が原告画像1の著作権(複製権及び公衆送信権)を侵害し又はこれを幇助したと主張し、差止め・削除及び損害賠償(1110万円)を請求した。なお、被告のグループ企業が中国の裁判所で原告に対し別件訴訟を提起しており、被告は国際裁判管轄における「特別の事情」(民訴法3条の9)の存在も主張した。 【争点】 (1) 民訴法3条の9所定の「特別の事情」の存否(国際裁判管轄)、(2) 原告各画像に係る著作権侵害の成否(表現の同一性・類似性、インラインリンクによる侵害の成否、依拠の有無)、(3) 差止め等の必要性、(4) 損害の発生及び額。 【判旨】 請求棄却。まず国際裁判管轄について、裁判所は、両当事者が中国所在の法人であり証拠の一部が中国に存在するものの、請求内容が日本国内向け配信ゲームに関するものであり日本と密接に関連すること、主要争点の立証に被告への過大な負担が生じるとは認められないこと等から、「特別の事情」を否定し、日本の裁判所の管轄を肯定した。 著作権侵害の成否については、原告画像1(ふくろうのキャラクター)と被告画像1は、丸い眼鏡を掛けた茶色いふくろうのポーズ、時計付きの杖、帽子やマフラー等の点で創作的表現が同一であり、複製に当たると認定した。しかし、原告画像2〜8と被告画像2〜7については、猿のキャラクター、白衣の化学者風キャラクター、大柄な肉屋風キャラクター等の各画像の共通点はいずれもアイデアの共通にとどまるか、ありふれた表現にすぎず創作性が認められないとして、複製にも翻案にも当たらないと判断した。画面構成(中央のキャラクター配置、ステータスバー、アイコン等)の類似についても、具体的表現が異なり、アイデアの共通にすぎないとした。 インラインリンクについては、被告画像1をリンク先サーバーから閲覧者端末に直接表示させるものにすぎず、被告がデータを自らのサーバーに入力する行為を行っていないとして、複製権・公衆送信権の侵害主体性を否定した。幇助についても、リンク設定行為が投稿者の複製・公衆送信行為自体を容易にしたとはいい難いとして否定した。以上により、原告の請求をいずれも棄却した。