環境影響評価書確定通知取消等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 神戸市灘区に計画された石炭火力発電所(出力130万kW)の新設に関し、事業者であるコベルコパワー神戸第二が環境影響評価書を経済産業大臣に届け出たところ、同大臣が電気事業法46条の17第2項に基づき変更命令の必要がない旨の確定通知(本件確定通知)をした。これに対し、発電所建設予定地の周辺(概ね半径25km以内)に居住する控訴人らが、本件確定通知は環境保全措置の不十分な発電所新設工事を許容するもので、生命・健康・生活環境利益等を侵害し違法であるとして、その取消しを求めた事案の控訴審である。原審は取消請求を棄却し、控訴人らが控訴した。 【争点】 (1)本件確定通知の処分性、(2)控訴人らの原告適格(CO2排出による気候変動被害及び大気汚染による健康被害の各観点)、(3)本件確定通知の違法性(PM2.5の検討欠落、調査地点の選定、濃度計測方法、燃料種の複数案検討の欠如等)。 【判旨】 控訴棄却。当裁判所は、まず処分性を肯定した。原告適格については、CO2排出に係る被害を受けない利益は、地球温暖化対策が人類の喫緊の課題であることを認めつつも、関連法令が個人の利益として一義的に保障したものとは解し難く、現段階では一般的公益的利益として政策全体の中で追求されるべきものであるとして否定した。ただし、今後の社会情勢の変化により個人的利益として承認される可能性を否定しないと付言した。一方、大気汚染による被害のおそれを理由とする原告適格は、環境影響評価法及び電気事業法の趣旨から肯定し、発電所から概ね半径25km圏内に居住する控訴人ら全員に原告適格を認めた。本件確定通知の違法性については、PM2.5の予測・評価が平成30年当時一定の精度で可能であったこと、本件発電所の事業特性・地域特性を踏まえれば検討の選択肢は十分あったことを認めつつも、国際的・社会的に環境影響評価への導入が一般的に求められていたとまでは認められないとし、経済産業大臣の裁量の逸脱・濫用には当たらないと判断した。調査地点の選定や濃度計測方法、燃料種の複数案検討についても、いずれも裁量の範囲内とした。