AI概要
【事案の概要】 本件は、「図柄表示媒体」に関する特許(特許第6440319号)について、原告(株式会社SO-KEN)が被告(特許権者Y)に対し、特許無効審判請求を不成立とした審決の取消しを求めた知財高裁の審決取消訴訟である。本件発明は、黒色の再帰反射材の表面に透光性の印刷層を設けることで、通常光下では図柄が見えないがフラッシュ光等の強い光を当てると図柄が浮かび上がる表示媒体に関するものである。 【争点】 (1) 甲4発明(米国FLEXcon社の再帰反射フィルムのカタログ記載発明)の認定の誤りの有無(甲4に「透光性の印刷層を形成できる」ことが記載されているか) (2) 本件発明と甲4発明の一致点・相違点の認定の誤りの有無 (3) 相違点に係る進歩性判断の誤りの有無(当業者が容易に想到し得たか) 【判旨】 審決を取り消した。 裁判所は、まず甲4発明の認定について、甲4カタログの「溶剤及びUVインクジェットに対応しています」との記載に加え、溶剤インクジェット印刷では透光性を有するCMYインクが広く用いられていた技術常識を踏まえ、甲4には「溶剤インクジェット印刷を施すことにより透光性の印刷層を形成することができる黒色の再帰反射フィルム」が記載されていると認定し、審決の甲4発明の認定は誤りであるとした。 相違点(甲4発明は透光性の印刷層を備えることはできるが図柄からなる透光性の印刷層を形成していない点)については、甲4発明自体が図柄からなる印刷層の形成を想定していること、及び黒色再帰反射フィルムに文字・図柄等からなる印刷層を形成することが出願日当時の周知技術であったことから、当業者が容易に想到し得たと判断した。被告の阻害要因の主張(車両用途では透光性印刷は不適当)も、甲4に用途限定の記載がないとして退けた。