保護変更決定処分取消請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 佐賀県内に居住し生活保護法に基づく生活扶助の支給を受けている原告らが、厚生労働大臣による保護基準の改定(平成25年改定、平成26年改定、平成27年改定)は違憲・違法であるとして、所轄の福祉事務所長らによる生活扶助の支給額を減額する各保護変更決定処分の取消しを求めた事案である。本件保護基準改定は、生活保護基準部会の検証結果に基づく「ゆがみ調整」と、平成20年以降のデフレ傾向を反映した「デフレ調整」(生活扶助相当CPIの下落率マイナス4.78%を反映)からなり、3年間で段階的に実施され、総額約670億円の生活保護費削減をもたらすものであった。 【争点】 1. 本件保護基準改定が厚生労働大臣の裁量権の範囲を逸脱・濫用したものとして違法か。 2. 平成25年改定に基づく保護変更決定処分につき、行政手続法14条の処分理由提示義務に違反する違法があるか。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、生活扶助基準の改定には厚生労働大臣に専門技術的かつ政策的な見地からの裁量権が認められるとした上で、判断の過程及び手続における過誤・欠落の有無等の観点から審査を行った。デフレ調整については、基準部会等の専門機関の意見聴取は法律上の要件ではなく、水準均衡方式も法令上のものではなく事実上の改定指針にすぎないとして、専門家の検討を経なかったこと及び物価を考慮したことは裁量権の逸脱・濫用に当たらないとした。自民党の選挙公約との関係についても、厚生労働大臣は見直しの必要性を把握した上で進める姿勢を示しており、バイアスや結論の先取りがあったとはいえないとした。生活扶助相当CPIの算出方法についても、概念的にはロウ指数に該当し不合理とはいえないと判断した。ゆがみ調整については、基準部会の検証結果に基づくものであり合理性があるとした。処分理由の提示についても違法はないとした。