不正競争防止法違反幇助被告事件
判決データ
- 事件番号
- 令和2あ1135
- 事件名
- 不正競争防止法違反幇助被告事件
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 裁判年月日
- 2022年5月20日
- 裁判種別・結果
- 判決・破棄自判
- 裁判官
- 菅野博之、三浦守、草野耕一
- 原審裁判所
- 東京高等裁判所
AI概要
【事案の概要】 タイ王国で火力発電所建設工事を遂行していたA社において、建設現場の仮桟橋に許可条件を超える大型はしけを接岸させる必要が生じたところ、現地港湾局支局長(外国公務員)Bから許可条件違反を指摘され、現金2000万タイバーツの支払を要求された。A社の調達総括部長C及びロジスティクス部長Dは、取締役常務執行役員兼エンジニアリング本部長であった被告人に対し、2度の会議(10日・13日)を設定して相談し、被告人は「仕方ないな。」と発言した。その後、Bらに現金1100万タイバーツ(約3993万円相当)を含む2000万タイバーツが供与された。第1審は被告人に不正競争防止法18条1項違反の共同正犯の成立を認め懲役1年6月・執行猶予3年に処したが、控訴審は共謀の成立を否定し幇助犯として罰金250万円に処した。検察官が上告した。 【争点】 被告人について、不正競争防止法18条1項(外国公務員等に対する不正利益供与)違反の共同正犯が成立するか、幇助犯にとどまるか。具体的には、被告人が本件会議において本件供与を「了承」したといえるか、Cらとの間で共謀が成立したといえるかが争われた。 【判旨(量刑)】 最高裁は、原判決を破棄し、第1審判決を維持して被告人の控訴を棄却した(懲役1年6月・執行猶予3年)。まず、控訴審が事実誤認を認めるには第1審判決の事実認定が論理則・経験則等に照らして不合理であることを具体的に示す必要があるとした上で、原判決の判断を以下のとおり退けた。第一に、C・Dの供述について了承時期が10日か13日かで食い違うとした点は、いずれの供述も被告人が本件会議で「仕方ないな。」と発言し供与の実行を了承したとする核心部分で一致しており、齟齬があるとはいえない。第二に、被告人が代替手段の検討を促していた点は、最終的に供与を了承したこととは両立するものであり、共謀を否定する論拠とはならない。第三に、事後報告がなかった点も、供与が計画どおり実行され、被告人自身が報告不要としたこともうかがわれることから不自然とはいえない。以上から、共同正犯の成立を認めた第1審判決は正当であり、原判決は刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があるとして、原判決を破棄した。