地方自治法違反
判決データ
- 事件番号
- 令和4う46
- 事件名
- 地方自治法違反
- 裁判所
- 名古屋高等裁判所
- 裁判年月日
- 2022年5月26日
- 裁判種別・結果
- 棄却
- 裁判官
- 吉村典晃、田中聖浩、谷口吉伸
- 原審裁判所
- 名古屋地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 本件は、県知事の解職請求(リコール)活動を行っていた共犯者らと共謀し、解職請求に関して、アルバイト作業員3名に同県知事の選挙権を有する合計71名の氏名を署名簿の氏名欄に記載させ、解職請求者の署名を偽造したという地方自治法違反の事案の控訴審である。被告人は、共犯者から誘われ、著名人との人脈を作り今後のビジネスチャンスにつなげることを期待して犯行に加担した。具体的には、自ら代表を務める会社の関連会社従業員に指示して、偽造行為を行う遠方の会場やアルバイト作業員の手配を行うなど、不可欠かつ重要な役割を果たした。原審は、被告人を懲役1年4月・執行猶予4年に処した。弁護人が法令適用の誤り及び量刑不当を主張して控訴した。 【争点】 第一の争点は、原判決が自首を認定しながら刑法42条(自首減軽)を適用しなかった点に法令適用の誤りがあるか否かである。第二の争点は、懲役1年4月・執行猶予4年の量刑が重過ぎて不当か否かであり、具体的には、犯行動機に関する事実認定の誤り、自首の考慮の程度、及び共犯者との量刑均衡が問題となった。 【判旨(量刑)】 控訴棄却。第一の争点について、刑法42条は任意的減軽の規定であり、法定刑の下限を下回る処断刑を導く場合に適用すれば足りるから、原判決の法令適用に誤りはないとした。第二の争点について、本件は本来存在しない民意を無断で作出し、公選による地方公共団体の長の地位を失わせようとした、直接民主主義や地方自治の根本をないがしろにする悪質な犯罪であると認定した。被告人の利己的動機に酌むべき点はなく、犯行における不可欠かつ重要な役割に照らせば、共犯者が主導したことを考慮しても罰金刑の選択は相当でなく懲役刑を選択すべきとした。他方、自首して詳細に供述し事案解明に寄与したことを相当程度有利に考慮し、犯行への後悔、前科がないこと、しょく罪寄附等の事情から執行猶予を付すのが相当とした原判決の量刑判断は適切であり、原判決後に被告人がしょく罪寄附を継続している事情を考慮しても、量刑はなお相当であるとして控訴を棄却した。