マンション管理組合各種帳票類閲覧請求事件
判決データ
- 事件番号
- 令和3ワ1971
- 事件名
- マンション管理組合各種帳票類閲覧請求事件
- 裁判所
- 札幌地方裁判所
- 裁判年月日
- 2022年5月26日
- 裁判官
- 中野郎、水野峻志、田中大地、文書目録
AI概要
【事案の概要】 マンションの区分所有者の配偶者である原告が、管理組合の理事長である被告に対し、管理規約69条に基づき、記帳済み通帳・支払伺書・総勘定元帳等の会計帳簿の閲覧を求めた事案である。原告は、元理事長が取引業者から収受した金銭の所在確認のため、平成20年度から平成28年度の通帳等の閲覧を請求したほか、平成26年度以降にマンション集会室で開催されている住民交流イベント「サロン」の収支内訳書等の閲覧も請求した。これに対し、当時の理事長は閲覧請求をいずれも不適法として却下したため、原告が訴訟を提起した。 【争点】 区分所有者の配偶者にすぎない原告が、管理規約69条の定める「利害関係人」に該当するか否か。被告は、標準管理規約の解釈に基づき、利害関係人とは担保権者・差押債権者・賃借人・宅建業者等の法律上の利害関係がある者に限られ、単に親族関係にあるだけの者は含まれないと主張した。 【判旨】 請求認容。裁判所は、まず管理規約69条の趣旨について、会計業務の透明性を確保し管理組合の健全な運営を実現することにあると解した上で、同条の「利害関係人」とは、マンションの管理について区分所有者たる組合員に準ずる管理規約上の地位を有する者であって、その地位に基づき管理組合に対して会計帳簿等の閲覧を請求する法律上の利害関係があると認められる者をいうと判示した。その上で、本件管理規約が占有者や同居人に区分所有者に準ずる共同生活上の義務を課していること、理事及び監事の被選任資格を「現に居住する組合員(配偶者を含む。)」と定め、組合員の配偶者に管理組合の運営に主体的に参画する地位を与えていることを指摘し、原告は組合員に準ずる管理規約上の地位を有すると認定した。さらに、会計処理に不適切な点が発見された場合、原告は議決権の代理行使者として総会で意見を述べ、又は自ら役員に就任して是正を求めることができる地位にあるから、閲覧請求は法律上の利害関係に基づくものであるとして、原告の「利害関係人」該当性を肯定した。