職務発明対価請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和3ネ10006
- 事件名
- 職務発明対価請求控訴事件
- 裁判所
- 知的財産高等裁判所
- 裁判年月日
- 2022年5月30日
- 裁判官
- 本多知成、浅井憲、勝又来未子
- 原審裁判所
- 東京地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 一審原告は、一審被告(ソニーグループ株式会社、旧商号ソニー株式会社)の元従業員であり、光ディスク記録装置等に関する複数の職務発明(本件発明1〜7及び本件考案8)を行った。一審原告は、これらの職務発明について日本及び外国の特許を受ける権利の持分を一審被告に承継させたとして、平成16年改正前の特許法35条3項等に基づき、相当の対価の支払を求めて提訴した。本件各発明は、CD-R/RWドライブ及びディスク、DVD-R/RWドライブ及びディスク等の光ディスク記録技術に関するものであり、一審被告がフィリップス社と共同で運営するジョイント・ライセンス・プログラムの規格必須特許として掲載されていた。一審原告は対価として3億円を請求し、原審(東京地裁)は約1227万円を認容したところ、双方が控訴した。 【争点】 主な争点は、(1)本件各発明の実施の有無(特に本件発明7の技術的範囲への属否)、(2)ジョイント・ライセンス・プログラム及び包括クロスライセンス契約による一審被告の利益額、(3)自己実施による一審被告の利益額、(4)使用者としての一審被告の貢献度、(5)共同発明者間における一審原告の貢献度、(6)消滅時効の成否であった。特に、本件発明7の構成要件における「同心円状」の解釈と、包括クロスライセンス契約による利益の算定方法が大きな争点となった。 【判旨】 知財高裁は、原判決を変更し、認容額を約2557万円に増額した。まず、本件発明7の「同心円状」の解釈について、記録領域及び拡大記録領域はディスク上のトラックそのものではなく、ディスクの中心と同一の中心を有するリング状の領域を指すと認定し、CD-R/RW、DVD-R/RW、DVD+Rの各ドライブ及びディスクが本件発明7の技術的範囲に属するとした(MD機器は非該当)。次に、一審被告の利益額について、ジョイント・ライセンス・プログラムからの分配金に加え、包括クロスライセンス契約の相手方5社が本件各発明を実施することで一審被告が免れた実施料相当額も利益として認定した。使用者の貢献度は95%(発明完成への貢献は高くないが、製品化及び規格必須特許への採用による利益拡大への貢献が極めて大きい)、共同発明者間の一審原告の貢献度は50%とし、既払額を控除して2557万1858円を認容した。一審被告の消滅時効の主張については、平成19年の実施報奨金支払が債務の承認に当たり時効が中断しているとして排斥した。