損害賠償請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 平成29ネ204
- 事件名
- 損害賠償請求控訴事件
- 裁判所
- 札幌高等裁判所
- 裁判年月日
- 2022年5月30日
- 裁判種別・結果
- その他
- 原審裁判所
- 札幌地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 北海道内で建物の建築、改修、解体等の現場において建築作業に従事し、石綿(アスベスト)粉じんに曝露したことにより石綿肺、肺がん、中皮腫等の石綿関連疾患に罹患したと主張する被災者又はその相続人である控訴人ら(原告ら)が、石綿含有建材を製造販売していた被控訴人ら(被告企業ら)に対し、石綿含有建材の危険性を表示せずに製造販売したことが不法行為に当たるとして、民法719条1項後段の類推適用に基づき、被災者1人当たり慰謝料3000万円及び弁護士費用300万円等の損害賠償を請求した事案の控訴審である。原審は被控訴人らに対する請求を全て棄却したため、控訴人らが控訴した。なお、国に対する国家賠償請求は当審で分離され、和解協議に付された。控訴人らは当審で請求を整理し、各被災者の職種・稼働時期・建物種類等から到達可能性の高い建材を「主要原因建材」として絞り込み、その製造販売企業のみを請求の相手方とした。 【争点】 (1) 被控訴人ら建材メーカーの警告義務違反の有無及びその始期、(2) 民法719条1項後段の類推適用による共同不法行為の成否、(3) 被控訴人らの製造販売した石綿含有建材が各被災者の建築現場に到達したことの立証方法、(4) 損害額及び各被控訴人の寄与度。 【判旨】 裁判所は、石綿含有建材の製造販売者は、使用者の生命・身体の安全に関わる高度の注意義務を負うとした上で、遅くとも昭和48年(1973年)には、石綿粉じんへの曝露により石綿関連疾患に罹患する危険性を認識することが可能であったと認定した。被控訴人らは、屋内の建築現場で使用される石綿含有建材について、遅くとも昭和49年1月1日から、石綿含有の事実、石綿関連疾患発症の危険性及び防じんマスク着用の必要性を建材やその包装に表示する警告義務を負っていたにもかかわらず、これを履行していなかったと判断した。他方、屋外建築作業については予見可能性を否定した。共同不法行為については、令和3年最高裁判決を参照し、特定の被控訴人の建材が被災者の建築現場に相当回数到達していた場合には民法719条1項後段の類推適用を認め、ただし損害全部の連帯責任ではなく、寄与度に応じた範囲での損害賠償責任を認めた。建材の現場到達の立証方法として、市場シェアと建築現場数に基づく確率論的手法を採用した。基準慰謝料額は、石綿肺(管理四)・肺がんにつき各2500万円、死亡の場合2800万円とし、職種に応じた寄与度(大工等50%、配管工・塗装工40%等)を乗じた範囲で、被控訴人エーアンドエー、ニチアス、エム・エム・ケイ、ノザワに対する請求を一部認容し、原判決を変更した。