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【事案の概要】 原告(株式会社ポンパドゥル)は、全国に70超の店舗を展開するパン製造・小売業者であり、平成26年7月から、1歳の誕生日を迎えた子供のお祝い用パンを「一升パン」の名称で製造・販売してきた。原告は「一升パン」(上段)及び「いっしょうパン」(下段)からなる引用商標の商標権者である。一方、被告(株式会社C・B・H)は、埼玉県内の複合商業施設「三橋の森」を運営する事業者であり、「三橋の森の一升パン」(標準文字)からなる本件商標の商標権者である。原告は、本件商標が引用商標と類似し商標法4条1項11号に該当すること、及び原告の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあり同項15号に該当することを理由に、商標登録無効審判を請求したが、特許庁はいずれの主張も認めず「審判の請求は成り立たない」との審決をした。原告はこの審決の取消しを求めて本件訴えを提起した。 【争点】 1. 商標法4条1項11号該当性(本件商標と引用商標の類否):本件商標「三橋の森の一升パン」から「一升パン」部分を要部として抽出し、引用商標と対比して類似と判断できるか。 2. 商標法4条1項15号該当性(出所混同のおそれ):原告使用商標「一升パン」の周知著名性の程度及び本件商標との類似性の程度に照らし、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるか。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原告の請求を棄却した。争点1について、裁判所は、本件商標は「三橋の森」と「一升パン」が格助詞「の」で結合された結合商標であるとした上で、「三橋の森」は埼玉県内の複合商業施設の名称であり造語として出所識別標識の機能を有すること、「一升パン」は造語ではあるものの、旧来の「一升餅」の「餅」を「パン」に置き換えたものにすぎず、登録査定時に原告以外にも100超の事業者が同名称の商品を製造・販売していたことから、それ自体が特徴的又は印象的な語とまではいえないと判断した。そして、「一升パン」部分が取引者・需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとは認められず、同部分を抽出して引用商標と対比することは許されないとした。本件商標全体と引用商標を対比すると、外観及び称呼が明らかに相違し、類似するとはいえないと結論づけた。争点2について、裁判所は、原告商品の販売期間が約4年5か月と短く、グループ全体の売上高130億円に占める原告商品の売上げの割合がごくわずかであること等から、原告使用商標は取引者・需要者の間で広く認識されていたとはいえないとし、商標の類似性の程度も著しく低いことから、出所混同のおそれはないと判断した。