発信者情報開示請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、「A」の名称で占いを業として行う原告が、ツイッター上で氏名不詳者(本件発信者)により投稿された3件の投稿により、名誉権、名誉感情及び著作権(公衆送信権)を侵害されたと主張して、経由プロバイダである被告(ソフトバンク株式会社)に対し、プロバイダ責任制限法4条1項に基づき発信者情報の開示を求めた事案である。 本件発信者は、「占いの被害者」というアカウント名でツイッターアカウントを開設し、原告が著作権を有するイーチンオラクルカードのイラストをプロフィール画像に無断使用した上で、「被害者を増やすだけのカード」「自分の人生暴露しないと儲けられない売れない占い師」「本人がコメントせずに、取り巻きにさせると言う、なんて自分勝手な占い師。」という3件の投稿を行った。原告はこれらの投稿により不安神経症と診断され治療中であり、本件発信者に対する損害賠償請求のために発信者情報の開示を求めた。 【争点】 主な争点は、(1)本件各投稿による権利侵害の明白性(名誉権侵害、名誉感情侵害、著作権侵害)、(2)被告の開示関係役務提供者該当性の2点である。被告は、各投稿は発信者の主観的な意見・感想にすぎず社会的評価を低下させるものではないと主張し、また著作権侵害については、プロフィール画像の設定はアカウント開設時に行われたものであり、各投稿時に文字データが送信されただけで本件イラストの公衆送信を媒介していないとして、開示関係役務提供者には該当しないと争った。 【判旨】 裁判所は、原告の請求を全部認容した。名誉権侵害について、投稿記事1の「被害者を増やすだけのカード」は、原告の占いカードにより被害を受ける旨の事実を摘示するものであり、占い師である原告の社会的評価を低下させることは明らかであると判断した。投稿記事2の「自分の人生暴露しないと儲けられない売れない占い師」も、間接的に原告の占いの価値を否定し社会的評価を低下させるものと認定した。投稿記事3の「本人がコメントせずに、取り巻きにさせると言う、なんて自分勝手な占い師。」は、前後の投稿の文脈を踏まえ、自分勝手で不誠実な占い師との印象を与え、人の人生を占う立場の原告の品性等を大きく損なわせるものと判断した。いずれの投稿もその実質は誹謗中傷であり、専ら公益を図る目的があったとはいえないとして違法性阻却事由の存在を否定した。名誉感情侵害についても、原告販売の占いカードの価値を真っ向から否定し原告の品性等を大きく損なわせるものであるとして、社会通念上許される限度を超える侮辱行為に当たると認めた。