発信者情報開示請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告(宗教法人)は、自らが著作権を有する写真(名誉会長の姿を撮影したもの)及び機関紙の紙面を複製した画像が、短文投稿サイト「ツイッター」に無断で投稿されたとして、ツイッターを運営する被告(米国法人)に対し、プロバイダ責任制限法4条1項に基づき、各投稿者に係る電話番号及び電子メールアドレスの開示を求めた事案である。投稿1は、原告の会長が安倍政権と近しい関係にあるとして批判する内容で、名誉会長の写真を添付したものであった。投稿2は、会長が公明党の政策に異を唱えた会員を処分しながら「多様性の尊重」等と発言していることを批判する内容で、機関紙の座談会記事全体を複製した画像を添付したものであった。被告は、いずれの投稿も著作権法32条1項の適法な引用に該当すると主張したほか、投稿1については、投稿時点で電話番号が省令上の開示対象に含まれていなかったとして、省令改正の遡及適用の問題を争った。 【争点】 1. 投稿1は写真を適法に引用したものか 2. 省令改正前の投稿について、発信者の電話番号は開示請求の対象となるか 3. 投稿2は機関紙の紙面(編集著作物)の創作性ある表現部分を利用したものか 4. 座談会記事は編集著作物に当たるか 5. 投稿2は機関紙・座談会記事を適法に引用したものか 【判旨】 裁判所は、原告の請求をいずれも認容した。争点1について、投稿1の本文は抽象的主観的な見解にとどまり具体的な意味内容を客観的に了知し得るものではないため、写真を添付する必要性や相当性がうかがわれず、公正な慣行に合致せず引用の目的上正当な範囲内で行われたものとはいえないと判断した。争点2について、プロバイダ責任制限法4条1項は開示対象情報の範囲の画定を省令に委任したものであり、開示請求権が行使された時点で施行されている省令の定めに従って決せられるべきであるとして、省令の遡及適用の問題は生じないと判示した。争点4について、座談会記事は素材の選択・配列に創作性が認められ、編集著作物に当たると認定した。争点5について、投稿2が批判の根拠とした会長の発言部分は記事全体の14分の1程度にすぎず、その他の部分は当該発言と無関係な内容であるから、記事全体を画像として添付する必要性はなく、また投稿の表示において座談会記事部分が少なくとも7割程度を占めていることから、引用の方法及び態様は公正な慣行に合致せず正当な範囲内で行われたものとはいえないと判断した。