損害賠償請求事件
判決データ
- 事件番号
- 令和3受1125
- 事件名
- 損害賠償請求事件
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 裁判年月日
- 2022年6月3日
- 裁判種別・結果
- 判決・その他
- 裁判官
- 菅野博之、三浦守、草野耕一
- 原審裁判所
- 東京高等裁判所
AI概要
【事案の概要】 建物の解体作業等に従事した後に石綿肺や肺がん等の石綿(アスベスト)関連疾患にり患した者又はその承継人らが、建材メーカーに対し、石綿含有建材の製造販売に当たり、解体作業従事者に対して石綿関連疾患のり患の危険等(本件警告情報)を表示すべき義務を怠ったと主張して、不法行為等に基づく損害賠償を求めた事案である。原審は、建材自体への警告情報の記載、シール貼付、注意書の添付等の方法による表示義務を認め、請求を一部認容した。 【争点】 建材メーカーが、石綿含有建材を製造販売するに当たり、当該建材が使用される建物の解体作業従事者に対し、石綿関連疾患のり患の危険等に関する警告情報を表示すべき義務を負っていたか。 【判旨】 原判決を一部破棄、一部差戻し、一部棄却。建材メーカーは解体作業従事者に対する警告情報の表示義務を負っていたとはいえないと判断した。その理由として、①吹付け材のように建材自体への記載が困難なものがある上、加工等により記載が失われたり視認困難となり得ること、②建材の使用部位や態様が様々であり、シール貼付が困難な場合がある上、経年劣化等により判読困難となり得ること、③注意書を添付しても解体までに長期間を経るのが通常であり、紛失等により解体作業従事者に提示される蓋然性が高いとはいえないこと、④建材メーカーはこれらの貼付・交付等の実現を確保できる立場にないことを挙げ、原審が説示した表示方法はいずれも実現性又は実効性に乏しいとした。加えて、建物の解体作業は、解体を実施する事業者等において職業上の知見等に基づき安全性を確保するための調査・対策をとって行われるべきものであるとした。もっとも、建設作業にも従事していた被上告人1名については損害額等の審理のため差し戻した。裁判官全員一致の意見。