発信者情報開示請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告は、氏名不詳者がTwitterにおいて原告の著作権を有する文章を複製した画像を投稿し、複製権及び公衆送信権を侵害したことが明らかであるとして、経由プロバイダである被告(株式会社インターネットイニシアティブ)に対し、プロバイダ責任制限法4条1項に基づき、発信者情報(本件アカウントへのログイン時のIPアドレス等に係る契約者情報)の開示を求めた事案である。原告は、Twitter社に対する仮処分決定により本件アカウントのログイン時のIPアドレス等238件の開示を受け、これに基づき被告に対して契約者情報の開示を請求した。 【争点】 主要な争点は以下の4点である。 (1) 本件発信者情報が「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当するか。特に、侵害情報の投稿後にされたログインに係る情報が開示対象となるか。 (2) 被告が本件発信者情報を「保有」しているといえるか。 (3) 本件ツイートにより原告の著作権が侵害されたことが明らかであるか。 (4) 原告が発信者情報の開示を受けるべき正当な理由を有するか。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、争点(1)について判断し、その余の争点については判断するまでもなく請求を棄却した。 裁判所は、プロバイダ責任制限法4条1項の開示対象は、侵害情報の送信と密接に関連するログイン情報を含むと解するのが相当であるとしつつも、侵害情報の送信後にされたログイン情報(侵害後のログイン情報)については、ログインからログアウトまでの間に侵害情報が送信されることはないため、原則として侵害情報の送信との密接関連性は認め難いとした。もっとも、侵害前のログイン情報と同視できる程度の密接関連性が認められる場合には開示対象に該当する余地があるとした。 本件では、侵害情報の投稿は令和3年2月9日であるのに対し、原告が開示を求めるIPアドレス等は全て投稿後のログインに係る情報であり、最も近接するものでも投稿から4週間以上経過したものであった。裁判所は、この時間的隔たりから侵害前のログイン情報と同視できるほどの密接関連性は認められないとした。 さらに、原告の「同一人物によるログインであれば開示すべき」との主張に対しても、表現の自由に対する過度の萎縮効果を生みかねないこと、複数人で同一アカウントを利用できるTwitterの性質上、無関係の第三者の情報を開示する可能性が否定できないことを指摘し、原告の主張を退けた。