閲覧謄写申立て却下決定に対する抗告却下審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 保佐開始の審判事件を本案とする財産の管理者の選任等の保全処分を申し立てた抗告人(実母について保佐開始を申し立てた者)が、上記保全処分の事件において選任された財産の管理者(A弁護士)が家庭裁判所に提出した財産目録及び財産状況報告書について、謄写の許可を申し立てた事案である。家庭裁判所は本件申立てを却下し、抗告人の即時抗告についても、抗告人は当事者に該当せず第三者からの申立てであるとして却下した。原審(抗告審)もこれを棄却したため、抗告人が許可抗告を申し立てた。 【争点】 保佐開始の審判事件を本案とする保全処分の事件において選任された財産の管理者が家庭裁判所に提出した財産目録等の書面が、上記保全処分の事件の「記録」に当たるか否か。記録に当たるとすれば、保全処分の申立人は当事者として家事事件手続法47条3項に基づき謄写許可を申し立てることができ、却下裁判に対して同条8項により即時抗告が可能となる。 【判旨】 最高裁第一小法廷は、抗告棄却の決定をした。裁判官全員一致の意見である。 まず、保佐開始の審判事件を本案とする財産の管理者の選任及び保佐命令の保全処分(法134条1項・2項、126条1項)は、保佐開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、暫定的に法律関係を形成し、被保佐人となるべき者の保護を図ることを目的とするものであるとした。そして、上記保全処分を命ずる審判が効力を生じた後は、財産の管理者による財産管理等を通じて被保佐人となるべき者の保護が図られるのであるから、上記保全処分の事件は、保全処分を命ずる審判の確定により終了すると判示した。 次に、財産の管理者が提出する財産目録や財産状況報告書は、管理者選任後の財産管理事務の適正を期することを目的として提出を求められるものであるから、保全処分の事件についての裁判所及び当事者の共通の資料となり得るものではないとした。 以上から、これらの書面は保全処分の事件の記録には当たらず、本件申立ては第三者からの申立てであり、却下裁判に対する即時抗告は不適法であるとして、原審の判断を正当と認めた。