特許権侵害行為差止等請求事件(承継参加)
判決データ
AI概要
【事案の概要】 「微生物の生長制御方法」に関する特許権(特許第4691307号)を有する原告が、パナソニック株式会社(承継参加人)に対し、同社製の5ドア冷蔵庫(NR-E415PV等)が本件特許の技術的範囲に属するとして、特許法100条1項・2項に基づく製造・販売等の差止め及び廃棄、並びに民法709条に基づく損害賠償1000万円及び遅延損害金の支払を求めた事案である。本件特許は、ショウロ菌や枯草菌等の微生物を約400nmから490nmまでの青色光の照射下で培養し、生長を抑制させる方法に関するものである。原告は、本件冷蔵庫にはパーシャル室等に青色LEDが搭載されており、庫内に保存された食材表面の常在菌(枯草菌・黄色ブドウ状球菌)に青色光が照射されて生長が抑制されるため、直接侵害又は間接侵害に当たると主張した。 【争点】 主な争点は、(1)本件冷蔵庫が本件特許の技術的範囲に属するか(構成要件B「光の照射下で培養して」の充足性)、(2)直接侵害・間接侵害の成否、(3)本件特許の無効理由の有無、(4)損害額であった。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、まず「光の照射下で」(構成要件B)について、青色光の照射の影響によって微生物の生長が抑制されていること、すなわち光の照射と生長抑制との間に直接的な関連性があることを要件とすると解釈した。そのうえで、本件冷蔵庫のLEDの点灯状況を検討し、主たる青色光源であるLED⑤が青色発光するのはパーシャル室をオート急冷中に設定した場合等に限られ、扉を閉めた後の収納量判定時の青色LED点灯はわずか2秒間・光強度0.02μE/㎡/s程度にすぎないと認定した。原告提出の実験結果については、冷蔵庫の温度設定等の実験条件の統制に疑義があるとして採用せず、参加人提出の実験結果により、パーシャル室内では遮光の有無にかかわらず菌が生長しないことが認められるとした。冷蔵庫が照射する光の強度は最大でも7μE/㎡/s程度で、本件明細書の実施例と対比してごく僅かであること、冷蔵庫は低温で食品を保存する機器であることも考慮し、青色光の照射が菌の生長抑制に影響を与えているとは認められないと判断した。さらに、乙36公報に記載された発明と本件発明の構成が実質的に同一であるとして、本件特許は新規性を欠き無効審判により無効にされるべきものと判断した。