特許権侵害差止等請求控訴事件,附帯控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 「情報通信ユニット」に関する特許(壁埋込型の無線LANアクセスポイントに関するもの)の特許権者である被控訴人(一審原告・因幡電機産業)が、控訴人(一審被告・FXC)の製造販売する各製品が本件特許の技術的範囲に属し特許権を侵害するとして、製造等の差止め・廃棄及び損害賠償を求めた事案の控訴審である。原審(大阪地裁)は差止・廃棄請求を認容し、損害賠償として約2億1967万円を認めたため、控訴人が控訴し、被控訴人が附帯控訴した。本件特許は、コンセント部に埋設されるケーシング内に複数の板状アンテナ素子を内壁面に沿って分配配置し、アンテナ素子間の干渉を抑制する構成を特徴とする。 【争点】 (1) 被告各製品が本件各発明の技術的範囲に属するか(構成要件充足性) (2) 本件各発明に無効理由があるか (3) 損害額の算定 【判旨】 知財高裁は、控訴人の控訴を一部認容し、損害賠償額を約1億9494万円に変更した。 争点(1)につき、控訴人は原審で構成要件D-1の充足を実質的に争わない旨の認否をしており自白が成立しているとした上で、仮にそうでないとしても「沿う」とは内壁面に密着することまでは要件でなく、近い距離を保って配置されていれば足りるとして充足を認めた。また、ケーシングのうちコンセント外部に露出した部分にアンテナを配置していても、内挿部の内壁面による空間的制約を受けるため本件各発明の作用効果を享受するとし、技術的範囲への属否に関する原判決の判断に誤りはないとした。 争点(2)につき、乙34発明はカーナビゲーション装置であり電源コンセント部への埋設構成を有しないこと、乙35発明1もコンセント部に埋設されるものではないこと等から、新規性欠如の主張をいずれも排斥した。進歩性についても否定した。 争点(3)につき、競合品(エレコム製品、Ruijie社製品)の存在を考慮し、推定覆滅割合を原審の5%から15%に引き上げた。また、被控訴人が控訴人から被告製品を購入したホテル向け取引については、特許法102条2項が想定する事態と類型的に異なるとして利益から除外した。競合品の存在による覆滅部分への同条3項の重畳適用は否定した。以上の結果、損害賠償額を約1億9494万円と認定し、附帯控訴は棄却した。