間接強制決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
判決データ
- 事件番号
- 令和3許8
- 事件名
- 間接強制決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 裁判年月日
- 2022年6月21日
- 裁判種別・結果
- 決定・棄却
- 裁判官
- 戸倉三郎、宇賀克也、林道晴、長嶺安政、渡惠理子
- 原審裁判所
- 大阪高等裁判所
AI概要
【事案の概要】 抗告人(妻)が、その夫である相手方に対し、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(実施法)134条に基づき、両名の子らのフランスへの返還を命ずる終局決定(本件返還決定)を債務名義として、間接強制の方法による子の返還の強制執行を申し立てた事案である。本件は、ハーグ条約に基づく子の返還命令の強制執行手続において、間接強制決定に対する抗告審の取消決定に対し、許可抗告がされたものである。 【争点】 本件返還決定に基づく間接強制の申立ての適法性が争点となった。具体的には、①子らの常居所地国であるフランスの第1審裁判所がした子の監護に関する裁判(本件本案判決)が仮の執行力を有する間、本件返還決定に基づく強制執行が権利濫用として許されないか、②本件申立てが強制執行の目的達成により不適法となったかが問題となった。原決定は、本件本案判決が仮の執行力を有する間は権利濫用として間接強制を許さないとしていた。 【判旨】 最高裁第三小法廷は、職権調査の結果、本件申立ての後に抗告人が実施法134条に基づき本件返還決定を債務名義として申し立てた代替執行により子の返還が完了し、本件返還決定に係る強制執行の目的を達したことが明らかであるから、本件申立ては不適法になったと判断した。その余の点について判断するまでもなく、本件申立てを却下した原決定は結論において是認できるとして、裁判官全員一致の意見で抗告を棄却した。 【補足意見】 長嶺安政裁判官及び渡惠理子裁判官の補足意見は、原決定の理由に対する懸念を表明するものである。原決定は、フランスの第1審裁判所がした子の監護に関する裁判に反することを理由に、本件返還決定に基づく強制執行を権利濫用として許さないとしたが、外国における子の監護に関する裁判(しかもいまだ確定していない)がされたことのみを理由に子の返還の強制執行を許さないとすることは、たとえ当該裁判が適正な審理の下に行われたものであったとしても、ハーグ条約の目的、同条約17条及びこれを受けて定められた実施法28条3項の趣旨に反するおそれがあると指摘した。