損害賠償請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、漫画家である被控訴人(原審原告)が、海賊版サイト「漫画村」に自己の漫画作品(累計発行部数2600万部超の人気作品)が無断でアップロードされ公衆送信権を侵害されたとして、同サイトに広告を提供し広告料を支払っていた広告代理業者である控訴人ら(株式会社エムエムラボ及び株式会社グローバルネット)に対し、幇助による共同不法行為(民法719条1項・2項、709条)に基づき、損害賠償金1100万円及び遅延損害金の連帯支払を求めた事案の控訴審である。 控訴人エムエムラボはクリック課金制アドネットワーク「MEDIAD II」を運用し、メディアレップであるエールを通じて漫画村への広告配信を行っていた。控訴人グローバルネットは控訴人エムエムラボと株主を共通にし、役員を兼任するなど一体的に事業を遂行していた。漫画村は登録不要・完全無料で大量の漫画を閲覧できるサイトであり、月間訪問者数は延べ1億7000万人を突破し、被害額は約3200億円と試算されていた。原審(東京地裁)は被控訴人の請求を全部認容し、控訴人らが控訴した。 【争点】 1. 控訴人らの広告提供行為が公衆送信権侵害の幇助行為に該当するか 2. 控訴人らの故意又は過失の有無 3. 被控訴人の損害額 【判旨】 控訴棄却(原審維持、請求全部認容)。 第一に、幇助行為該当性について、裁判所は、漫画村が広告料収入をほとんど唯一の資金源としていた実態を踏まえ、広告を提供し広告料を支払う行為は、サイト運営者において既にアップロードした漫画の掲載を継続するとともに更にアップロード対象を追加することを直接誘発・促進するものであり、幇助行為に該当すると判断した。控訴人らが支払った広告料の割合が小さいとの主張に対しては、広告料の金額の多寡にかかわらず広告を提供する行為自体が著作権侵害を助長するものであり、割合の問題は共同不法行為者間の求償に係る問題にすぎないとして退けた。 第二に、過失について、裁判所は、平成29年5月までの時点で、漫画村が無許諾で漫画を掲載していることはサイトの外形上明白であり、海賊版サイトへの広告出稿抑止の取組みも既に進められていたことから、控訴人らは著作権者との利用許諾の有無を確認して適切に対処すべき注意義務又は登録を拒絶すべき注意義務を負っていたとし、少なくとも過失があったと認定した。 第三に、損害額について、著作権法114条1項に基づき、漫画村の月間訪問者数・蔵書数・原告漫画の人気度等を考慮して受信複製物の数量を算定し、合計約3087万円の損害を認定した上で、請求額1100万円の範囲で全額を認容した。