固定資産税都市計画税賦課処分取消請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和3行コ246
- 事件名
- 固定資産税都市計画税賦課処分取消請求控訴事件
- 裁判所
- 東京高等裁判所
- 裁判年月日
- 2022年6月29日
- 裁判官
- 平田豊、酒井良介、矢口俊哉
AI概要
【事案の概要】 宗教法人である原告(被控訴人)は、東京都内に所有する不動産の一部について、東京都新宿都税事務所長から平成29年度の固定資産税及び都市計画税の賦課決定処分を受けた。原告は、当該不動産が地方税法348条2項3号及び702条の2第2項の非課税規定により非課税となるべき「境内建物及び境内地」に該当するにもかかわらず課税された違法な処分であるとして、その取消しを求めた。問題となったのは、原告の宗教施設(バハイ教の施設)内に設けられた管理人室の取扱いであり、管理人が居住しながら施設管理業務を行っていた。原審(東京地裁)は原告の請求を認容し、被告(控訴人・東京都)が控訴した。 【争点】 本件の中心的争点は、宗教法人が所有する建物内の管理人室が、地方税法の非課税規定にいう「専らその本来の用に供する」境内建物に該当するか否かである。被告は、「専ら」とは当該用途に供する頻度や割合が特に高いことを要求する趣旨であり、管理人が日中は外部の会社に勤務して不在にしていることや、管理業務が株式会社等でも行われる一般的な施設管理業務にすぎないことなどから、非課税規定の適用はないと主張した。 【判旨】 東京高裁は控訴を棄却し、原判決を維持した。裁判所は、「専ら」の要件について、宗教法人による境内建物の利用は当該宗教法人の自律に委ねるべきものであり、営利目的による利用や信徒以外の不特定多数の者への布教目的を伴わない開放など、宗教法人の目的に含まれない利用をした場合に問題となるのであって、そうでない限り同要件を満たすと解するのが相当であるとした。利用の頻度や割合を考慮し、利用しない時間があることを理由に「専ら」の要件を欠くと判断することは、利用実態がほとんどないような顕著な場合でない限り、宗教法人の宗教活動を不当に選別するもので相当性を欠くと判示した。また、非課税規定の適用において考慮すべきは管理の態様ではなく管理の対象が宗教上の施設であるか否かであり、宗教法人の目的達成のために宗教上の施設を管理することの必要性は明らかであるとした。管理人室については、宗教施設の管理やイベント補助のために建物内に管理人の起居する場所を設けることには合理性があり、バハイ教の教義上仕事に就くことが義務とされていることからも管理人が建物に居住することが管理に最も資するとして、非課税規定の適用を認めた。