競業行為差止等請求本訴・損害賠償請求反訴控訴事件、同附帯控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、元夫婦間における画廊「GALLERY ART POINT」(ギャラリーアートポイント)の営業権や商標権等をめぐる紛争の控訴審である。1審原告(元妻)は、元夫である1審被告Yとの間で画廊の営業譲渡を受けたと主張し、1審被告Yに対し、競業行為の差止め、商号使用の差止め、営業妨害行為の差止め及び損害賠償を求める本訴を提起した。また、1審被告Y及び同人が代表取締役を務める1審被告会社による標章の使用が原告商標権の侵害に当たるとして、その差止め等も求めた。 一方、1審被告Yは反訴として、1審原告がウェブサイト等で営業譲渡があった旨の虚偽の事実を告知したことが不正競争防止法2条1項21号の不正競争行為に該当するとして損害賠償及び差止めを求めるとともに、被告商標権に基づく原告標章の使用差止め、著作権侵害に基づく差止め、ドメイン名の使用差止め等を求めた。 1審被告Yは、亡母から画廊旧所在地の賃借人の地位を引き継ぎ、平成19年以降「ギャラリーアートポイント」の名称で画廊を運営していた。1審原告は平成26年に1審被告Yと知り合い、平成27年に婚姻後、画廊業務に従事するようになった。その後、夫婦関係が悪化し、1審被告Yが暴行罪で罰金刑を受けた後に別居。1審原告は別居直後に被告ら標章と実質的に同一の原告商標を出願・登録し、1審被告Yも対抗して被告商標を出願・登録した。別居後、両者は共同賃借した事務所を1週間交代で使用して各自画廊営業を行う合意をしていた。 【争点】 主な争点は、(1)営業譲渡契約の成否、(2)原告商標権の行使が権利濫用に当たるか、(3)営業妨害行為の不法行為該当性、(4)不正競争防止法に基づく損害賠償額、(5)被告商標権の行使が権利濫用に当たるか、(6)著作権侵害の成否、(7)ドメイン名の不正競争該当性である。 【判旨】 控訴審は、営業譲渡契約の成立を否定した原審の判断を維持した。 原告商標権の行使について、裁判所は、1審被告Yが婚姻前から本件商号を使用して画廊を運営していたこと、1審原告には画廊での勤務経験がなかったこと、別居後に両者が事務所を交互に使用して各自営業を行う合意をしていたこと、原告商標の出願が別居後の交渉を有利に進める手段として行われたものとうかがわれることを総合考慮し、原告商標権に基づく差止請求及び損害賠償請求は権利の濫用に当たり許されないと判断した。同様の理由から、被告商標権に基づく差止請求も権利の濫用として排斥した。 営業妨害行為に関しては、原審認容の不法行為に基づく損害賠償(約40万円)を維持した。 不正競争防止法4条に基づく損害賠償については、1審原告の虚偽告知による1審被告Yの損害額を、売上減少28万3060円に加え、信用毀損による無形損害を原審の100万円から50万円に減額し、合計78万3060円と認定した。減額の理由として、1審被告Y自身も1審原告の顧客に紛争状態を広めており、信用毀損の損害を拡大した面があることを指摘した。 著作権侵害及びドメイン名に関する請求はいずれも理由がないとして棄却した。