AI概要
【事案の概要】 被告人は、共犯者らと共謀の上、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い国が設けた持続化給付金制度を悪用し、3件の詐欺を行った。具体的には、令和2年7月、個人事業者ではないD、K及びNを給付申請名義人として、行政書士Bに虚偽内容の確定申告書を作成させた上、インターネットを通じて持続化給付金の給付申請を行い、審査担当者らを誤信させて、各名義人の銀行口座に100万円ずつ、合計300万円を振り込ませて詐取した。被告人は国会議員事務所のボランティアスタッフであり、政党関係者という肩書を利用して、大学生や会社員ら受給資格のない者に対し「個人事業主になれば100万円がもらえる」などと説明して不正受給に勧誘し、給付金100万円のうち60万円を「手数料」として徴収するスキームを構築していた。 【争点】 被告人に詐欺の故意及び共犯者らとの共謀があったか否か。弁護人は、被告人は持続化給付金制度等の支援策の説明をして給付申請希望者を行政書士につないだだけであり、不正な給付申請がされることは承知していなかったとして、全件について無罪を主張した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人の故意及び共謀を認定し、有罪と判断した。その根拠として、(1)給付申請名義人D・K・Nの各証言から、被告人が個人事業者でない者に対し受給資格があるかのように虚偽の説明をしていたこと、(2)別の説明会における被告人の発言(「裏ワザ」「立て付けとしましては不正受給になってしまう」等)が上記証言を裏付けていること、(3)行政書士Bへの確定申告書作成依頼の態様、(4)進捗管理用スプレッドシートの内容確認等から被告人が不正申請を認識・容認していたことを認定した。被告人の「オーバートークにすぎない」との弁解は、制度の仕組みをよく知りながら明らかに制度趣旨から外れた説明をしていたこと等に照らし排斥された。量刑については、組織的かつ計画的な態様が悪質であること、被告人が中心的立場で重要な役割を果たしたこと、詐欺の前科があることを重視しつつ、一部共犯者による被害弁償の事情等も考慮し、求刑懲役4年に対し、懲役2年10月を言い渡した。