損害賠償等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、福井県自然保護センター(被控訴人が運営する地方公共団体の施設)のインターネット展示システムを構築した控訴人(株式会社ネイチャースケープ)が、被控訴人に対し、同システムに係る著作者人格権(同一性保持権)の侵害及び使用許諾契約の債務不履行を理由とする差止め・廃棄請求並びに損害賠償請求(8569万円)をした事案の控訴審である。 本件展示システムは、生物の分布情報を地図上にマッピングして表示するもので、サーバ、ルータ等のハードウェア、各種ソフトウェア及びネットワークにより構成されていた。被控訴人は、メーカーサポート終了に伴い、本件ルータの80番ポートを閉鎖し(本件閉鎖行為)、ADSL回線用のモジュラージャックからモジュラーケーブルを取り外す行為(本件引抜行為)を行った。また、被控訴人がサーバ設計書の少なくとも一部を外部業者に開示したこと(本件開示行為)も問題となった。原審(大阪地裁)は控訴人の請求をいずれも棄却し、控訴人が控訴した。 【争点】 1. 本件展示システムの著作物性の有無 2. 著作者人格権(同一性保持権)侵害の有無 3. 控訴人と被控訴人との間の使用許諾契約の成否 4. 使用許諾契約の債務不履行(同一性保持義務違反・秘密保持義務違反)の有無 5. 国家賠償法上の違法行為の有無及び損害額 【判旨】 控訴棄却。知財高裁は原審の判断を維持し、以下のとおり判断した。 争点1について、本件展示システムに求められる機能や基本的な構成等は購入仕様書及び構築仕様書において相応に具体的に定められており、控訴人の選択はそれらの制約の中で行われるものであるとした。また、本件展示システムは実用的な工業製品であるハードウェアやソフトウェア等の個別的な要素の集合体として構成されるもので、その全体が一まとまりに表現されたものとは認められないとし、控訴人の選択は技術上のアイディアの集合体にすぎず、著作権法にいう「思想又は感情を創作的に表現したもの」には当たらないと判断した。 争点3について、旧展示システムの構築時に控訴人は元請業者の下請にすぎなかったことなどから、控訴人と被控訴人との間で使用許諾契約が成立したとは認められないとした。 争点5について、本件サーバ設計書の全体が外部業者に開示されたとの事実は認められないとし、代表的なポート番号の閉鎖を試みることはサーバ設計書全体を見なくとも可能であるとして、控訴人の主張を退けた。