AI概要
【事案の概要】 本件は、特定フィブリノゲン製剤の投与を受けたことによりC型肝炎ウイルスに感染したと主張する原告ら(複数名)が、薬害C型肝炎被害者救済特別措置法(特措法)に基づき、被告(国)に対し、病態に応じた給付金の支払を求めた事案である。補助参加人は、特定フィブリノゲン製剤を製造・販売したミドリ十字の債務を承継した製薬会社である。いずれの原告についても、フィブリノゲン製剤の投与を直接裏付ける診療録等の客観的証拠は現存しておらず、間接事実からの投与事実の推認が争われた。 【争点】 主な争点は、(1)特定フィブリノゲン製剤の投与事実を推認するための証明の対象と判断基準、(2)投与の推認に低フィブリノゲン血症又はDICの治療・予防の必要性の認定が必要か、(3)個別の原告について投与事実が認められるか、である。原告らは、他の感染原因の不存在、投与対象となる病態の存在、製剤の使用可能な状態での存在の3点が立証されれば投与事実と因果関係が相関的に認定できると主張した。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、原告らが主張する上記3要件による相関的認定の手法は特措法の条文から読み取れず採用できないとした。そして、フィブリノゲン製剤は低フィブリノゲン血症又はDICの治療・予防の必要がある場合に医学的適応があるものとして広く普及していた薬剤であるとし、大量出血の存在だけでは直ちに投与を推認できないと判断した。他方で、産科DICスコアを反対解釈して投与の可能性を否定することも許されないとし、全証拠を総合的に検討する判断枠組みを示した上で、個別の原告について検討した結果、全ての原告について特定フィブリノゲン製剤の投与事実を認めることができないとして、原告らの請求をいずれも棄却した。