特許権侵害差止等請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 平成30ネ10077
- 事件名
- 特許権侵害差止等請求控訴事件
- 裁判所
- 知的財産高等裁判所
- 裁判年月日
- 2022年7月20日
- 裁判官
- 本多知成、浅井憲、本多知成、佐藤睦
- 原審裁判所
- 東京地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 本件は、「表示装置、コメント表示方法、及びプログラム」に関する2件の特許権(特許第4734471号〈本件特許権1〉及び特許第4695583号〈本件特許権2〉)を有する控訴人(ドワンゴ)が、被控訴人FC2及び同HPS(ホームページシステム)に対し、FC2動画等のサービスに用いられるプログラムが本件各特許発明の技術的範囲に属するとして、特許法100条に基づく差止め・抹消及び民法709条・719条に基づく損害賠償金1億円の連帯支払等を求めた事案の控訴審である。原審(東京地裁)は控訴人の請求を全部棄却していた。 【争点】 (1) 被控訴人ら各プログラムが本件各特許発明の構成要件を充足するか(特に「第1の表示欄」「第2の表示欄」の意義)、(2) 属地主義の原則の下、米国サーバからの配信が日本国特許法にいう「提供」に該当するか、(3) 各先行技術文献を主引用例とする新規性・進歩性の欠如の有無(無効の抗弁)、(4) 被控訴人HPSの共同不法行為の成否、(5) 損害額。 【判旨】 控訴審は原判決を変更し、控訴人の請求を一部認容した。第一に、本件発明1の「第1の表示欄」及び「第2の表示欄」に該当するか否かは、ソースコード上の論理的な領域設定ではなく、動画及びコメントが実際に表示される位置・領域を基準に判断すべきであるとし、被控訴人ら各サービスにおいて動画が再生される領域の内側と外側にまたがってコメントが表示されることがある以上、本件発明1の技術的範囲に属すると認定した。第二に、ネットワーク関連発明の提供行為について、形式的に全てが日本国内で完結することを要求すれば、サーバの一部を国外に移転するだけで容易に侵害責任を免れることになり著しく正義に反するとして、提供の制御が日本国内で行われているか、日本国内の顧客に向けられたものか、効果が日本国内で発現しているか等の諸事情を総合的に考慮し、実質的かつ全体的にみて日本国内で行われたと評価できるとした。第三に、複数の先行技術文献に基づく無効の抗弁をいずれも排斥した。損害額については、特許法102条2項の推定を適用しつつ、コメントが動画領域外に表示される動画の割合が非常に小さいこと等を考慮し、99%の推定覆滅を認めたが、覆滅後の損害額に弁護士費用1000万円を加算した結果、請求額1億円全額の連帯支払を認容した。