殺人、死体遺棄被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人は、10年以上にわたり内縁の夫Aから日常的にDVを受け続ける中で殺意を抱くようになり、Aの態度に不満を持っていた男性Xと共謀の上、令和2年2月27日、広島県福山市内のA方において、Xが、被告人から睡眠薬を飲まされて眠っていたAの頸部をロープで絞め付けて窒息死させて殺害した。さらに、被告人はX及び他の共犯者2名と共謀し、Aの死体をカーペット様のものに巻いて車で運搬し、無関係の第三者C方に放置して遺棄した。被告人は殺害の実行行為自体はXに委ねたが、犯行に必要なロープ・通話用携帯電話・移動用自動車を用意し、Aに睡眠薬を飲ませて眠らせ、死体遺棄先の鍵を入手するなど重要な役割を担った。犯行後、被告人はXの借金約145万円の返済を免除し、報酬として現金100万円を支払った。原審は被告人を懲役14年に処した。 【判旨(量刑)】 広島高裁は、原判決の量刑が重過ぎて不当とはいえないとして控訴を棄却した。弁護人は、本件がDV被害者による「忍従反動型」の殺人であり、配偶者間で被害者に落ち度がある殺人事案の量刑傾向(懲役5〜7年が中心)を参照すべきと主張した。しかし高裁は、当該量刑傾向の該当件数は26件にとどまり、うち計画的殺意の事案は2件のみであるから、計画的殺意に基づく殺人の量刑傾向を適切に把握できないと指摘した。原審が複数の量刑傾向を幅広に参照して検討した方法は合理的であり、懲役14年はいずれの量刑傾向とも矛盾しないと判断した。DVの苛烈さは犯行経緯として十分考慮すべきだが、長期間殺意を抱き計画的に実現した点、共犯者Xと対等な関係で重要な役割を担った点、無関係の第三者に嫌疑を向けさせる目的での死体遺棄の悪質性等を踏まえれば、大幅に刑を下げる事情とはならないとした。