発信者情報開示請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 漫画家である原告が、ツイッター上で氏名不詳者により投稿された3件の記事について、(1)原告の漫画の複製画像を添付しつつ「漫画家崩れ」等と中傷する投稿(投稿1)が著作権(複製権・公衆送信権)及び名誉感情を侵害し、(2)同漫画の複製画像を添付した投稿(投稿2)が著作権を侵害し、(3)「マンガの収入だけで食えてない」等と中傷する投稿(投稿3)が名誉感情を侵害すると主張して、通信事業者であるKDDI及びNTTコミュニケーションズに対し、プロバイダ責任制限法4条1項に基づき、ログイン時のIPアドレスに係る発信者情報の開示を求めた事案。 【争点】 (1)ログイン時の発信者情報が「権利の侵害に係る発信者情報」に該当するか、(2)被告らが「開示関係役務提供者」に該当するか、(3)投稿画像1・2が漫画の「複製」及び「公衆送信」に当たるか、(4)投稿1が適法な引用に当たるか、(5)投稿1・3が名誉感情侵害に当たるか。 【判旨】 請求認容。裁判所はまず投稿1について検討し、著作権侵害の成立を認めた。発信者情報の該当性については、法4条の趣旨が被害者の権利救済にあることから、発信者情報が権利を侵害した加害者に関するものと認められる場合は、侵害情報の流通過程で把握されたか否かにかかわらず「権利の侵害に係る発信者情報」に当たると判示した。ツイッターの仕組み上、投稿にはログインが必要であり、アカウント共有を窺わせる事情もないことから、ログイン情報は投稿者に関するものと認定した。著作権侵害については、投稿画像はキャラクターの顔にモザイク処理が施されているものの、セリフ部分等の表現上の本質的特徴がそのまま残されており、複製及び公衆送信に該当すると判断した。引用の抗弁については、本文の漫画への言及がわずか15文字の概括的感想にすぎないのに対し、投稿画像が表示全体の8割を占めるなど引用部分と被引用部分の情報量に大きな差があり、公正な慣行に合致せず正当な範囲内ともいえないとして退けた。