現住建造物等放火、詐欺
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人は、火災共済金を得る目的で、入院中の実父Aが住居として使用していた京都府久世郡久御山町内の居宅(鉄骨造瓦葺地下1階付2階建)に放火し、同居宅を全焼させた(現住建造物等放火)。さらに、被告人は放火の事実を秘して農業協同組合に火災共済金の支払を請求し、約3324万円をだまし取った(詐欺)。被告人は勤務先の信用金庫でノンバンクへの約1200万円の借金が上司に発覚し、返済資金の調達を迫られていた。火災共済の満期が3日後に迫る中、入院中で不在の実父宅に放火し、共済金で借金を全額返済した。 【争点】 ①本件火災は被告人の放火によるものか、②火災当時、実父宅は「現住建造物」に該当するか。弁護人は、被告人は放火犯人ではなく無罪であると主張し、また実父が入院中で帰宅の見込みがなかったとして現住性を争った。 【判旨(量刑)】 争点①について、裁判所は、出火時刻の推定(専門家2名の意見を検討し午後9時24分頃〜午後10時4分頃と認定)と被告人の訪問時刻(午後9時57分頃〜午後10時3分頃)が重なること、借金返済のための動機、出火場所が家屋構造を熟知した者でなければ放火困難な押入れ内部であること、火災共済の満期について警察に虚偽申告をしたこと等を総合し、被告人が犯人でないとしたら合理的に説明できない事実関係があるとして、被告人の犯人性を認定した。争点②について、実父は帰宅意思が強く、認知症の程度や要介護度からして在宅介護サービス等の利用により自立生活が可能であったとして、現住性を肯定した。量刑については、全焼になりやすい家屋中央付近への着火で犯意は強固であり、住宅密集地での延焼の危険も大きかったこと、自宅マンション売却で返済可能であったのにあえて共済金に目をつけた動機の身勝手さから、保険金目的の現住建造物等放火の同種事案の中でやや重めの部類とし、求刑懲役8年に対し懲役7年を言い渡した。