各認知請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 凍結保存精子を用いた生殖補助医療により出生した姉妹(控訴人長女・控訴人二女)が、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(特例法)に基づき男性から女性への性別変更の審判を受けた生物学的父(被控訴人)に対し、それぞれ認知を求めた事案である。被控訴人は認知を望んでいたが、市区町村長が特例法4条1項に反するとして認知届出を不受理としたため、訴訟に至った。原審は姉妹の請求をいずれも棄却した。 【争点】 性別変更審判を受けた被控訴人に対し、凍結保存精子による生殖補助医療で出生した控訴人らが民法787条に基づく認知請求権を有するか。具体的には、(1)生殖補助医療により出生した子が精子提供者に対して認知請求権を行使できるか、(2)女性に性別変更された被控訴人が認知請求の相手方となる「父」と認められるかが問題となった。 【判旨】 控訴人長女の控訴を認容、控訴人二女の控訴を棄却(一部変更)。 裁判所は、民法の実親子関係に関する規定は性交渉に由来する親子関係を前提としているが、子をもうけることを目的として凍結保存精子を提供した場合には、生殖補助医療により出生した子も民法787条の「子」として認知請求権を有すると判示した。そして同条の「父」は生物学的な男性を前提とする規定であり、特例法の制定によってもこの解釈は変更されていないとした。 控訴人長女については、性別変更審判の確定前に出生しており、出生時に被控訴人が法律上「男性」であったため、その時点で認知請求権を取得したと認定した。特例法4条2項が審判前に生じた身分関係に影響を及ぼさない旨定めていることから、被控訴人の性別変更後も長女の認知請求権は存続するとして、認知請求を認容した。 一方、控訴人二女については、性別変更審判の確定後に出生しており、出生時に被控訴人は法律上「女性」であったため、民法787条の「父」とは認められず、認知請求権を取得したとはいえないとして棄却した。特例法4条2項の類推適用の主張も、審判確定後の出生であるため前提を欠くとして退けた。