AI概要
【事案の概要】 本件は、船舶の「浸水防止部屋」に関する特許(特許第5536254号、発明の名称「船舶」)について、原告(内海造船)が被告(三菱造船)の特許に対して請求した無効審判の審決取消訴訟である。特許庁は、被告による訂正(浸水防止部屋から「タンクを除く」旨の限定等)を認めた上で、原告主張の無効理由(新規事項追加、甲3・甲4・甲6を主引用例とする新規性喪失・進歩性欠如)をいずれも排斥する審決をした。原告がこの審決の取消しを求めて知財高裁に提訴した。 【争点】 (1) 訂正事項1-1等の「(ただし、タンクを除く。)」の追加が新規事項の追加に当たるか (2) 訂正事項1-3等の「前記隔壁によって推進方向の前後に区画された」「いずれも」の追加が明瞭でない記載の釈明を目的とするか、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものか (3) 本件訂正が認められないことを前提とした場合の容易想到性 (4) 甲6(船尾トリミングタンク)・甲4(アンチローリングタンク)を主引用例とする容易想到性 【判旨】 知財高裁は原告の請求を棄却した。訂正事項1-1について、明細書等の「浸水防止部屋」はタンク機能を兼ねるものと兼ねないものの双方を包含しており、タンクを除外する訂正は新たな技術的事項を導入しないと判断した。訂正事項1-3について、構成要件1Iの「前記機関区域の前記部屋」がどの部屋を指すか明確でなかったものを明瞭にする釈明であり、特許請求の範囲の拡張・変更にも当たらないとした。容易想到性については、甲6の船尾トリミングタンクや甲4のアンチローリングタンクはいずれもタンク機能を兼ねる浸水防止部屋であるところ、これをタンク機能のない空所に置き換える動機付けはなく、むしろタンク配置スペースの新たな確保が必要となり設計自由度を損なう阻害要因があるとして、進歩性を肯定した。