著作権侵害損害賠償請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 ジャーナリストである控訴人(原告)が、大学教授である被控訴人(被告)の執筆した雑誌記事等について、控訴人が著作権を有する雑誌記事(原告雑誌記事)及び書籍の一部(原告ルポ)の複製又は翻案に当たり、著作権(複製権、翻案権)及び著作者人格権(氏名表示権、同一性保持権)を侵害すると主張し、予備的にデッドコピーによる不法行為を主張して、300万円の損害賠償を求めた事案の控訴審である。控訴人は奨学金問題を取材するジャーナリストであり、日本学生支援機構の奨学金制度が「サラ金化」しているとの問題意識から、同機構の利息収入・延滞金収入や債権回収業者への委託状況等に関する記事・ルポを執筆していたところ、被控訴人が同様の内容の記事を複数発表したことが問題となった。原審(東京地裁)は控訴人の請求をいずれも棄却し、控訴人が控訴した。 【争点】 1. 著作権(複製権、翻案権)及び著作者人格権(氏名表示権、同一性保持権)の侵害の成否 2. デッドコピーによる不法行為の成否 【判旨】 控訴棄却。当裁判所も原審の判断を維持し、控訴人の請求はいずれも理由がないと判断した。争点1について、原告各記述と被告各記述の共通部分は、奨学金制度の金融事業化に関する事実又はそれに係る思想若しくはアイデアであり、思想又は感情の創作的な表現でない部分において共通するにすぎないとした。控訴人はルポルタージュの特性として事実の取捨選択や配列に創作性がある旨主張したが、2004年の独立法人化を転換点とする視点は原告記述以前から複数の記事で示されており、2010年度のデータの選択も記事発行時期からして控訴人の個性の表現とはいえないとした。また、記述を全体的に評価しても結論は左右されないとした。争点2について、平成23年最判の「特段の事情」の有無を検討し、有利子奨学金の問題が広く認識されていたこと、被告各記述の多くは公開資料から把握可能であったこと、同一書籍に掲載されたものや参考文献として明記されているものがあること等を総合考慮し、被控訴人が原告各記述のデータを参考としたことについて事前説明等の配慮をすることも考えられたとしつつも、不法行為による損害賠償責任を認めるべき特段の事情はないと判断した。