著作権侵害損害賠償等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告(株式会社コナミデジタルエンタテインメント)は、ロールプレイングゲーム「幻想水滸伝」及び「幻想水滸伝Ⅱ」に使用されている楽曲(原告楽曲)の著作権を有するところ、被告A及び被告会社(ワイズマンプロジェクト合同会社)が、原告楽曲を素材としてオーケストラ用の譜面を作成し(編曲行為)、浜松市内でのピアノ録音及びハンガリー・ブダペストでのオーケストラ録音を行い(録音・複製行為)、これを収録したCDや楽曲をAmazon等の音楽配信サイトで販売・配信し(譲渡・配信行為)、さらに国外で制作したCDを日本国内に輸入した(輸入行為)として、著作権法112条に基づく差止め及び廃棄、並びに不法行為に基づく429万1680円の損害賠償を求めた事案である。被告らは、一連の行為の主体は米国法人VGM社やイスラエル法人CLASSICAL社であり、被告らは関与していないと主張した。 【争点】 (1) 各侵害行為(編曲・録音複製・譲渡配信・輸入)の主体は誰か (2) 編曲行為による翻案権侵害の成否(「検討の過程における利用」(法30条の3)やイスラエル著作権法による免責の可否を含む) (3) 録音・複製行為による複製権侵害の成否 (4) 譲渡・配信行為による譲渡権・公衆送信権侵害の成否(米国著作権法のフェアユースの抗弁を含む) (5) 輸入行為によるみなし侵害(法113条1項1号)の成否 (6) 原告の損害額 【判旨】 裁判所は、被告Aが、VGM社の設立に関与し、クラウドファンディングで資金を調達し、VGM社やCLASSICAL社の担当者として原告に楽曲使用許諾申請を繰り返し行い、譜面作成・演奏指揮・録音・ミックス作業等の中心的作業を自ら行っていたことから、被告Aは少なくとも被告会社・VGM社・CLASSICAL社等と共同して一連の侵害行為を行ったものと認定した。CLASSICAL社についても、設立時期・経緯や代表者が不明であること等から、イスラエル著作権法に基づき原告楽曲を利用可能とするために設立された名目的な法人である疑いがあるとした。翻案権侵害については、原告楽曲をオーケストラ演奏に適した旋律に変更し新たな創作性を付加したものとして翻案に当たると認め、「検討の過程における利用」との主張は、使用許諾申請と同時進行で録音が行われ実際にCDに収録・販売された経緯から退けた。また、日本国内で譜面作成が行われた以上、イスラエル著作権法は免責根拠とならないとした。フェアユースの主張についても、日本の著作権法にはフェアユースに相当する一般条項がなく、米国著作権法の法理を直接適用することはできないとして排斥した。損害額については、著作権法114条3項の使用料相当額として150万円、弁護士費用15万円の合計165万円を認容し、差止め及び廃棄請求も認めた。