法人税更正処分等取消請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和4行コ36
- 事件名
- 法人税更正処分等取消請求控訴事件
- 裁判所
- 東京高等裁判所
- 裁判年月日
- 2022年9月14日
- 裁判官
- 中村也寸志、三村義幸、武藤貴明
- 原審裁判所
- 東京地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 連結納税の承認を受けた内国法人である控訴人(大手自動車メーカー)は、平成28年4月1日から平成29年3月31日までの連結事業年度の法人税及び地方法人税の確定申告をした。これに対し、処分行政庁は、控訴人が英領バミューダ諸島に設立した子会社(NGRE)が非関連者である保険会社との間で締結した再保険契約について、その収入保険料が租税特別措置法施行令の括弧書きにいう「関連者以外の者が有する資産又は関連者以外の者が負う損害賠償責任を保険の目的とする保険に係る収入保険料」に該当しないとした。すなわち、外国子会社合算税制(いわゆるタックスヘイブン対策税制)の適用除外要件である非関連者基準を満たさないとして、法人税等の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分を行った。控訴人はこれらの処分の取消しを求めて提訴したが、原審(東京地裁)は控訴人の請求をいずれも棄却したため、控訴人が控訴した。なお、本件の元受保険契約は、控訴人の関連会社が顧客に対して行う自動車ローン等のクレジット債権を保全するための信用生命保険であり、顧客の死亡等を保険事故とするものであった。 【争点】 本件再保険契約に係る収入保険料が、租税特別措置法施行令の括弧書きにいう「関連者以外の者が有する資産又は関連者以外の者が負う損害賠償責任を保険の目的とする保険に係る収入保険料」に該当するか否か。具体的には、信用生命保険の再保険について、「保険の目的」をどのように解すべきかが問題となった。処分行政庁側は、保険により保障・塡補を得ようとする対象はクレジット債権(関連者の資産)であると主張し、控訴人側は、保険危険の対象は非関連者である顧客の生命・身体であると主張した。 【判旨】 東京高裁は原判決を取り消し、控訴人の請求をいずれも認容した。裁判所は、本件括弧書きの趣旨について、保険業に係る非関連者基準の判定において、再保険に非関連者が介在する場合の取扱いを明確化し、保険危険の過半が非関連者の財産等に係るものか否かという判断基準を明示することで、外国子会社合算税制の潜脱を防止するものであると解した。そして、このような趣旨は損害保険に限らず保険一般に妥当するから、括弧書きの「資産」や「損害賠償責任」は単なる例示にすぎないと判断した。その上で、本件元受保険契約は顧客の死亡等を保険事故事由とし、保険料の実質的負担者も顧客であることから、非関連者である顧客の生命・身体等に対する保険危険を担保する保険であると認定した。処分行政庁側の「保険の目的」をクレジット債権と解する主張については、文言から導くことが困難な独自の見解であり、保険締結の経済的動機によって適用の有無を決する解釈は判断基準を不明確にし、括弧書きの趣旨に反するとして排斥した。