特許権侵害差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、発明の名称を「マッサージ機」とする特許権(特許第6253829号)を有する原告(ファミリーイナダ株式会社)が、被告(株式会社フジ医療器)に対し、被告が製造販売するロースタイルマッサージチェア2製品(被告製品1:AS-LS1、被告製品2:LSC-1)が本件特許権を侵害するとして、特許法100条1項・2項に基づく製造販売等の差止め及び製品の廃棄、並びに不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。 本件特許は、椅子型マッサージ機において、背凭れ部の第一側壁と座部の第二側壁を一体的に形成した側壁に、腰部を左右方向に押圧する第一マッサージ部と臀部乃至大腿部を左右方向に押圧する第二マッサージ部を設け、これらの動作を制御する制御部を有することを特徴とするものである。従来のマッサージ機では身体の背面から上下方向に押し上げるだけで、身体を両側から保持したり左右に移動させたりすることができなかったという課題を解決するものであった。 【争点】 主な争点は、(1)被告製品が本件各発明の技術的範囲に属するか(特に構成要件EおよびFの充足性)、(2)本件特許に無効理由(進歩性欠如)があるか、(3)損害額、(4)差止め及び廃棄の必要性であった。被告は、構成要件Eの「腰部を左右方向に押圧可能」について、腰部を保持する機能と左右に移動させる機能の双方を備えたものに限定すべきと主張し、構成要件Fの「制御部」についても左右独立駆動が必須と主張した。また、乙6発明(特開2009-254408)及び乙7発明(特開2005-205234)に基づき進歩性が欠如すると主張した。 【判旨】 裁判所は、構成要件Eについて、第一マッサージ部は左右の側壁から中央側に向けて腰部を押圧する機能を備えていれば足りるとし、被告主張のような限定解釈を退けた。構成要件Fについても、制御の態様に限定はなく、左右同時の給排気も含まれると判断した。被告製品はいずれも構成要件E及びFを充足し、本件各発明の技術的範囲に属すると認定した。 進歩性については、乙6発明・乙7発明はいずれもリクライニング機能を有する構成であるところ、リクライニング機能を持たない椅子型マッサージ機における側壁一体化の周知技術をこれらに適用することはリクライニング動作を阻害するため動機付けがなく、容易想到とはいえないと判断した。また、腰部用と臀部用のマッサージ部を明確に区別する構成も公知例には開示されていないとした。 損害額については、実施料率を7%と認定し、損害賠償として4862万9824円及び遅延損害金の支払を命じた。差止め及び廃棄請求も認容した。