特許権侵害差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、「マイクロコンタクタプローブと電気プローブユニット」に関する特許権(特許第4889183号)を有する原告が、被告が平成31年1月22日までに販売したプローブコンタクト(被告製品)が同特許権に係る発明の技術的範囲に属するとして、不法行為に基づき1億5000万円の損害賠償及び遅延損害金を請求した事案である。 原告は測定機器及びその付属品の製造販売等を業とする会社であり、被告は計測器及び関連する電子部品の製造販売等を業とする会社である。本件特許の発明は、電子部品の電気的検査に用いるマイクロコンタクタプローブに関するもので、コイルばねの中央部に設けられた「密巻き部」によってプランジャとの間の導通経路における摺動導通部を1つに減少させ、検査時の抵抗のばらつきを抑制するという技術的意義を有する。 【争点】 主な争点は、(1)被告製品のコイルばねが「摺動導通部」を有する「筒状の密巻き部」を備え、プランジャの一方に「摺動可能に接触」しているか(構成要件充足性)、(2)損害額、(3)本件特許に新規性欠如、進歩性欠如、明確性要件違反、サポート要件違反、実施可能要件違反の各無効理由があるか、である。中心的争点は上記(1)であり、「密巻き部」及び「摺動導通部」の意義の解釈が問題となった。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、まず「密巻き部」について、コイルばねに流れた電流が螺旋状ではなく軸線方向に沿って直線的に流れるようになっている部分であり、少なくとも圧縮圧力を加える前から軸線方向において接触状態にある部分をいうと解釈した。次に「摺動導通部」について、プランジャと「密巻き部」が接触しながら動き、少なくとも一定のストローク区間において連続して電気的に導通していることを意味すると解し、特定のストロークの一点でのみ接触すれば足りるとする原告の主張を退けた。その上で、被告製品について、原告が提出したシミュレーション結果、摺動痕及びX線写真のいずれによっても、ソケットベースにセットされた待機状態からフルストロークまでの間、連続して「密巻き部」と第2プランジャが接触して導通可能であったとは認められないと判断し、被告製品は構成要件を充足しないとして、その余の争点について判断するまでもなく、原告の請求を棄却した。