AI概要
【事案の概要】 本件は、原告(ワイズ ペイメンツ リミテッド)が、被告(ビーオーシーアイ-プルデンシャル アセット マネジメント リミテッド)の保有する商標(登録第5328151号、指定役務:第36類「証券投資信託受益証券の募集・売出し」等)について、商標法50条1項に基づき不使用による商標登録取消審判を請求したところ、特許庁が「審判の請求は成り立たない」との審決をしたため、原告がその取消しを求めた事案である。 被告の商標は、中国本土株に連動する指数連動型上場投資信託「W.I.S.E.−CSI300 China Tracker」に関して使用されていたもので、被告は楽天証券株式会社を通じて当該投資信託を日本国内で販売していた。原告は、商標の通常使用権者による使用の証拠とされたウェブサイト画面が要証期間(審判請求登録前3年以内)外に印刷されたものであること、楽天証券への商標使用許諾が書面で立証されていないこと、ウェブサイトの表示は「広告」に当たらないこと、運用報告書は法律上作成が義務付けられた書面であり商標法2条3項8号の「取引書類」に当たらないこと等を主張して審決の取消しを求めた。 【争点】 本件の主要な争点は、要証期間内に被告又はその通常使用権者が本件商標と社会通念上同一の商標を指定役務について使用していたか否かである。具体的には、(1)楽天証券のウェブサイトにおける使用商標の表示が要証期間内にも存在したと認められるか、(2)被告から楽天証券への通常使用権の許諾が推認できるか、(3)楽天証券のウェブサイト上の表示が商標法2条3項8号の「役務に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に当たるか、(4)運用報告書(全体版)における使用商標の表示が商標的使用に当たるか、(5)運用報告書が同号の「取引書類」に当たるかが争われた。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原告の請求を棄却した。まず、楽天証券のウェブサイトについて、要証期間内に本件投資信託の取引が継続的に行われていたこと、交付運用報告書に楽天証券のウェブサイトで運用報告書(全体版)が提供されている旨記載されていたこと、楽天証券のウェブサイトの表示態様が平成22年頃から大きく変更されていないこと等から、要証期間内にも同様の形態のウェブサイトが存在したと推認した。通常使用権の許諾については、被告が楽天証券を通じて投資信託を販売している以上、楽天証券が商標を使用することは当然に想定され、個別の書面がなくても許諾は推認できるとした。広告該当性については、ウェブサイトに価格や基準価額等の投資判断に重要な情報が掲載され、売買ボタンも設置されていたことから、需要者に購入を促す「広告」に当たると認定した。運用報告書における使用商標についても、管理会社として被告が表示され登録商標マークも付されていることから商標的使用に当たるとし、また公益的理由から作成が義務付けられる書面であっても取引に関連して作成される書類としての性質を有するとして「取引書類」に当たると判断した。