組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反,銃砲刀剣類所持等取締法違反,現住建造物等放火,非現住建造物等放火,殺人未遂(変更後の訴因|傷害),殺人
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人は、北九州市に拠点を置く指定暴力団(特定危険指定暴力団)の幹部組員であり、平成23年から平成26年にかけて同組織が敢行した7つの事件に関与したとして起訴された。具体的には、①建設会社取締役をけん銃で射殺した殺人事件(甲事件)、②元福岡県警警察官を路上でけん銃で銃撃した組織的殺人未遂事件(元警察官事件)、③繁華街のビル2棟のエレベーターに灯油をまいて放火した現住建造物等放火・非現住建造物等放火事件(放火事件)、④みかじめ料の支払いを拒んだ飲食店経営者を刃物で襲撃した組織的殺人未遂事件(乙事件)及びクラブ営業部長に対する傷害事件(丙事件)、⑤組織の総裁の担当看護師を刃物で襲撃した組織的殺人未遂事件(看護師事件)、⑥漁協組合長への圧力目的でその息子である歯科医師を刃物で襲撃した組織的殺人未遂事件(歯科医師事件)の各事件である。被告人は、甲事件では実行犯(射殺役)として、放火事件・看護師事件・歯科医師事件では指示役として、元警察官事件・乙事件・丙事件では行動確認等の役割で関与した。 【争点】 主な争点は各事件ごとに異なるが、甲事件では被告人が実行犯であるか否か、実行犯の殺意及び共謀の有無が争われた。元警察官事件では、被告人が犯行計画を事前に認識していたか(故意及び共謀)が中心的争点となった。放火事件では、被告人が放火の故意を有していたか及びビルの現住性の認識が争われた。乙事件では被告人の関与の有無自体が争点となり、弁護人は一切の関与を否定した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、甲事件について、共犯者の供述及び被害者妻の目撃供述等から、被告人が被害者をけん銃で射殺した実行犯であると認定した。元警察官事件では、被告人が犯行計画の全容を直接聞いていたとまでは認定できないものの、被害者の顔を配下組員に覚えさせた行為、犯行現場付近での指示場面の目撃、けん銃の試射音を聞いたこと等から、少なくとも未必的故意を認めた。放火事件では、灯油とガソリンの混合油を準備させたこと等から放火の故意を認定した。乙事件では、被告人が被害者の行動確認を第三者に依頼し、犯行直前にも自ら被害者の行動を確認していた事実を認め、関与を認定した。以上を踏まえ、裁判所は、一般市民をけん銃で射殺した甲事件に実行犯として関与した刑事責任は極めて重く、甲事件への関与のみでも無期懲役刑に値するとし、さらに他の6事件への関与を併せ考慮すれば、上位者からの指示による犯行であること等の有利な事情を最大限考慮しても有期懲役刑を選択することはできないとして、求刑どおり被告人を無期懲役に処した。