AI概要
【事案の概要】 本件は、CAD(コンピュータ支援設計)ソフトウェア「AutoCAD」「AutoCAD LT」「Revit」等の著作権を有する原告(オートデスク・インク)が、情報処理に関する教育・指導等を目的とする株式会社である被告(全国58校のスクールを運営)に対し、ライセンス契約により許諾された数を超えてソフトウェアを違法に複製し使用したと主張して、著作権(複製権)侵害の不法行為に基づく損害賠償金約1億7529万円の支払を求めた事案である。 原告は、ソフトウェア保護団体BSAの情報提供窓口を通じて被告における違法複製の情報を入手し、大阪地方裁判所及び神戸地方裁判所に証拠保全を申し立てた。平成30年3月28日、被告のなんば校・天王寺校・神戸三宮校の3校で検証が行われ、合計22台のパソコンにAutoCAD LTの複製が確認された。原告は、このうちシリアル番号が不明又は「000-00000000」と表示されたパソコンについて、シングルユーザータイプの違法複製であると主張した。さらに、被告が証拠保全後に新規ライセンス購入を大幅に増加させたことも、従前の違法複製の証拠であると主張した。 【争点】 1. 被告による本件各ソフトウェアの違法複製の有無 2. 被告の故意又は過失 3. 被告の違法複製による原告の損害 【判旨】 裁判所は、原告の請求を棄却した。 まず、シリアル番号が不明又は「000-00000000」のパソコンについてシングルユーザータイプの違法複製と推認できるとの原告の主張について、裁判所は以下の理由から退けた。証拠保全時に原告が持参した専用調査ツールが正常に機能しなかったパソコンが複数存在し、シリアル番号が確認できなかった原因は調査ツールの不具合にある可能性があった。また、バージョン2017以降のAutoCAD LT等では、インストール時にシリアル番号を入力せずアクティベート時に入力する仕様に変更されたため、ライセンス転送ユーティリティの利用の有無にかかわらずレジストリ上のシリアル番号が「000-00000000」となり得ることが認められた。したがって、シリアル番号の不明・ゼロ表示からシングルユーザータイプの違法複製を推認することはできないとした。 さらに、被告は証拠保全当時、マルチユーザーの保守プラン20シート及びシングルユーザーの保守プラン129シートを保有しており、対象3校で確認された22台の複製数はライセンス数の範囲内であることに加え、被告はライセンス数を超えて受講予約を受け付けない予約管理システムを導入していた事実も認定された。証拠保全後のライセンス購入増加についても、それだけでは従前の違法複製を推認できないとして、原告の請求を棄却した。