AI概要
【事案の概要】 本件は、新聞の発行等を目的とする原告(株式会社中日新聞社)が、鉄道事業を営む被告(首都圏新都市鉄道株式会社)に対し、被告が原告発行の新聞記事をスキャンして画像データを作成し、社内イントラネットの記録媒体に保存して被告従業員が閲覧できるようにした行為が、原告の複製権及び公衆送信権を侵害するとして、民法709条又は同法715条に基づき、損害賠償及び遅延損害金の支払を求めた事案である。被告は平成17年9月頃から平成31年4月16日までの間、原告の許諾を受けることなく上記行為を継続していた。 【争点】 1. 本件イントラネット掲載記事が原告の著作権を有する著作物に該当するか 2. 損害額の算定(本件個別規定と本件包括規定のいずれを基礎とすべきか、非営利・公益性による無料適用の可否等) 【判旨】 裁判所は、争点1について、平成30年度掲載記事133本はいずれも、読者に分かりやすく伝わるよう順序等を整えて記載し、関連事項を適宜の順序・形式で組み合わせ、関係者のインタビュー等を取捨選択・要約するなどの表現上の工夫がされており、創作的な表現として著作物性を認めた。また、原告の従業員が職務上作成し原告名義で公表されたものとして、原告の著作権を認めた。平成29年度以前については、保管フォルダの枠付き記事や平成30年度の掲載状況等から推認し、合計458本の著作権侵害を認定した。 争点2について、裁判所は、原告の本件個別規定(1記事あたり年2500円)を参酌しつつも、イントラネット掲載が最新時事情報の従業員周知目的であり掲載から短期間でアクセスがなくなること、件数が多い場合の割引規定の存在、イントラネット利用に関する個別規定適用の実績が不明であること等を総合考慮し、1記事あたり掲載期間にかかわらず3000円と認定した。被告の非営利・公益性の主張及び本件包括規定によるべきとの主張はいずれも排斥した。その結果、平成30年度以前の458本分137万4000円、平成30年度掲載記事分39万9000円、弁護士費用15万円の合計192万3000円の損害を認容した(請求額4239万4590円の約4.5%)。