特許権侵害差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、発明の名称を「軟骨下関節表面支持体を備えた骨折固定システム」とする特許第4994835号の特許権者である原告(オランダ法人・ジンマー・バイオメットグループ)が、医療機器の製造販売を行う被告(株式会社エム・イー・システム)に対し、被告が製造販売する橈骨遠位端用プレート等の製品(被告製品1ないし5)が本件特許の技術的範囲に属するとして、特許法100条1項及び2項に基づく製造販売の差止め及び廃棄、並びに民法709条に基づく損害賠償を求めた事案である。本件特許は、遠位橈骨骨折の固定に用いるプレートに関し、頭部に2組の孔を縦方向にずらして配置し、各孔の軸線が骨内で交差して軟骨下骨を支持する構成を特徴とする。 【争点】 主な争点は、(1)被告製品が本件発明の構成要件1D(一定の角度の突起を保持する孔の構成)、1E(孔の軸線の定義)、1J(第1の組の孔の軸線が第2の組の孔の遠位側に突出し骨内で交差する構成)及び1K(軟骨下骨の背側面側・手掌側面側の接線方向に軸線が延びる構成)を充足するか、(2)均等侵害の成否、(3)進歩性欠如による無効の抗弁、(4)損害額である。 【判旨】 裁判所は、原告の請求をいずれも棄却した。まず構成要件1Jの充足性について、「孔の軸線」とは孔の形状により定まる軸線と解釈し、原告が根拠とする報告書(甲26)はカタログ図面に基づく検証にすぎず、図面が被告製品の寸法やスクリュー長を正確に反映しているか不明であること、また被告製品の頭部を折り曲げる工程後の実際の孔の軸線角度を正確に反映していない可能性があることから、その信用性を否定した。構成要件1Kについても同様に、カタログ記載の角度の正確性に疑義があり、孔の軸線が軟骨下骨の接線方向に延びていることを認めるに足りる証拠がないとした。均等侵害(争点1-6)については、本件発明の本質的部分は、孔自体が軟骨下骨を背側面側及び手掌側面側の2箇所で支持する方向に突起を固定できる構成にあるところ、被告製品はこの本質的部分において本件発明と異なるから、均等の第1要件を充足しないと判断した。以上より、被告製品は本件特許の技術的範囲に属せず、間接侵害も成立しないとして、差止め、廃棄及び損害賠償の各請求を棄却した。