AI概要
【事案の概要】 本件は、「音声情報再生装置」に関する特許(特許第4817157号)について、被告が請求した特許無効審判において、特許庁が本件特許の請求項1ないし3に係る発明を無効とする審決をしたことから、特許権者である原告がその取消しを求めた審決取消訴訟である。本件特許は、媒体表面に印刷されたドットパターンを光学的に読み取り、対応する音声情報を再生する装置に関するものである。本件審決は、原告による訂正請求(訂正事項1及び2)を訂正要件違反として認めず、本件補正が新規事項を追加するもので補正要件に違反すること、サポート要件及び実施可能要件を充足しないことを理由に、本件特許を無効とした。 【争点】 主な争点は、①訂正事項1(情報ドットの配置方向を8方向(45度間隔)から4方向(90度間隔・縦横方向)に変更する訂正)が特許請求の範囲の減縮に該当するか、②本件発明がサポート要件を充足するかである。原告は、訂正事項1は択一的記載の要素の削除又は発明特定事項の直列的付加に当たり特許請求の範囲の減縮に該当すると主張した。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原告の請求を棄却した。裁判所は、訂正事項1について、本件発明1の構成における「いずれかの方向に、どの程度ずらすか」とは、ドットをずらす方向の数ではなく、各方向へのドットの配置の有無と中心点からの距離によってデータ内容を定義する趣旨であると解するのが自然であるとした。そして、8方向全部が一体となり中心点からの距離と相まってデータ内容の定義に用いられているのであるから、8方向から4方向への変更は、単に選択肢の数を制限したというものではなく、端的に異なる情報定義体系を採用したことを意味するものであり、包含ないし上位下位概念の関係には立たないと判断した。したがって、訂正事項1は特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえず、訂正要件を満たさないとした審決の判断に誤りはないとした。また、サポート要件についても、本件明細書記載の図5ドットパターン(縦横4方向)と本件発明1の構成(8方向)とは情報定義体系を異にするものであり、図5ドットパターンを本件発明1の一例として位置付けることはできないから、本件発明はサポート要件に適合しないとした。