AI概要
【事案の概要】 本件は、ドットパターンが形成された媒体等に関する特許(特許第5259005号、請求項63個)について、被告が特許無効審判を請求し、特許庁が本件特許の請求項1ないし63に係る発明を無効とする審決をしたことから、特許権者である原告がその取消しを求めた審決取消訴訟である。本件特許の発明は、印刷物に形成したドットパターン情報を光学的に読み取り、対応する情報を再生する技術に関するものであり、ドットの本来の位置からの「ずらし方」によってドットパターンの向きを意味する構成(構成要件E)を特徴とする。原告は審判手続において訂正請求を行ったが、特許庁は訂正を認めず、サポート要件違反及び実施可能要件違反を理由に本件特許を無効とした。 【争点】 主な争点は、①本件訂正(訂正事項1)が特許法134条の2第1項ただし書1号の「特許請求の範囲の減縮」に該当するか、②本件発明がサポート要件(特許法36条6項1号)を充足するかである。訂正事項1は、構成要件Eの「当該ドット本来の位置からのずらし方によって」を「当該ドット本来の位置から前記水平方向にずらされて前記端点からスタートする垂直方向のライン上にないことによって」に変更するものであった。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原告の請求を棄却した。まず訂正要件について、訂正前の構成はドットの本来の位置と実際に配置された位置との関係(「ずらし方」)に基づいてドットパターンの向きが表現されるものであるのに対し、訂正後の構成はドットがライン上の本来の位置にあるか「ないこと」に基づいて向きが表現されるものであり、両者はドットパターンの向きを表現する指標・場所・方法を異にする異なる構成であって、上位下位概念の関係には立たないと判断した。したがって訂正事項1は「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものではなく、訂正要件違反があるとした審決の判断に誤りはないとした。次にサポート要件について、本件明細書の図5ドットパターンに関する記載(段落0066)は、垂直ライン上にドットが「ないこと」から上下方向を認識するとの記載であって「ずらし方」による向きの表現とはいえず、「x、y座標フラグ」等はデータ内容を定義するドットにすぎずドットパターンの向きを意味するものではないとして、構成要件Eについてサポート要件を充足させる記載は見当たらないと判断した。以上より取消事由に理由がないとして請求を棄却した。