損害賠償請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、発明の名称を「包装用積層フィルム又は該包装用積層フィルムで成形された包装袋及び包装用積層フィルムの製造方法」とする特許(特許第6422064号)に係る特許権を有する控訴人が、被控訴人(株式会社クオリティファースト)に対し、被控訴人が販売する各製品は本件特許権の侵害に当たると主張して、不法行為に基づく損害賠償3000万円(原審300万円から拡張)及び遅延損害金の支払を求めた事案の控訴審である。原審は、被告包装袋は本件各発明の技術的範囲に属せず、また本件特許は新規性を欠くとして請求を棄却した。 【争点】 主な争点は、①被告包装袋が本件各発明の技術的範囲に属するか(特に構成要件Cの「シーラント層」の意義)、②乙14製品に対する新規性欠如の有無、③控訴人による訂正の再抗弁の成否、④訂正後の発明の進歩性の有無である。控訴人は、本件各発明にはシーラント層にもミシン目が及ぶものが含まれるから被告包装袋は構成要件Cを充足すると主張し、また被告包装袋のミシン目は積層フィルムを貫通していないと主張した。被控訴人は、本件各発明のシーラント層にはミシン目が及ばないと解すべきであり、被告包装袋のミシン目は貫通していると反論した。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、控訴を棄却し、拡張請求も棄却した。裁判所は、本件発明1の特許請求の範囲において、「表層の基材フィルム」にはミシン目又は溝が設けられることが明示されているのに対し、「シーラント層」には積層されることが示されているにすぎないことから、シーラント層にはミシン目又は溝が設けられていないと解するのが自然であるとした。また、本件明細書から読み取れる技術的意義として、包装物の密封性は発明の主要な要素であり、シーラント層にミシン目等が及んだ場合には密封性を確保できず発明の目的を達成できなくなるとした。さらに、被告包装袋のミシン目の貫通の有無について、控訴人が実施した水漏れ確認実験は表面張力のある水を用いており相当でなく、被控訴人が実施したシールチェック液による透過実験の結果からミシン目は積層フィルムを貫通していると認定した。以上から、被告包装袋は本件各発明の技術的範囲に属しないと判断し、その余の争点(新規性・訂正の再抗弁等)について判断するまでもなく、請求を棄却した。