損害賠償請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和4ネ1922
- 事件名
- 損害賠償請求控訴事件
- 裁判所
- 東京高等裁判所
- 裁判年月日
- 2022年10月20日
- 裁判種別・結果
- その他
- 裁判官
- 石井浩、塚原聡、飯畑勝之
- 原審裁判所
- 東京地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 控訴人が、被控訴人(国会議員)に対し、被控訴人がツイッター上で他のユーザーが投稿した控訴人を侮辱する内容のツイート計25件に「いいね」を押した行為(本件各押下行為)により、控訴人の名誉感情を侵害したと主張して、不法行為に基づく損害賠償220万円及び遅延損害金の支払を求めた事案である。控訴人は性被害を受けたと主張していたところ、被控訴人はインターネット番組やBBC放送の番組、自身のブログ等で控訴人を揶揄・批判する発言を繰り返していた。その後、被控訴人自身のツイートを契機として投稿された控訴人を中傷する多数のツイートに「いいね」を押した。原審は控訴人の請求を棄却したため、控訴人が控訴した。 【争点】 1. 本件各押下行為の不法行為該当性(「いいね」を押す行為が名誉感情を侵害する不法行為となるか) 2. 損害額 【判旨】 裁判所は、「いいね」を押す行為は当該ツイートに対して好意的・肯定的な感情を示したものと一般的に理解されるとした上で、「いいね」ボタンは押すか押さないかの二者択一であり、対象ツイートのどの部分に好意的評価をしているかが当然に明確になるものではないとした。そのため、「いいね」の趣旨を判断するには、対象ツイートの記載内容、「いいね」を押した者と対象ツイートで取り上げられた者との関係、経緯等を検討する必要があるとした。 その上で、本件対象ツイートはいずれも控訴人や控訴人を擁護する者を揶揄・中傷するものであること、被控訴人が従前から控訴人への批判を繰り返していたこと、被控訴人は控訴人らを批判するツイートにのみ「いいね」を押し批判的なツイートには押していなかったこと等から、本件各押下行為は控訴人らを侮辱する本件対象ツイートに好意的・肯定的な感情を示すために行われたものと認定した。 さらに、本件各押下行為が合計25回と多数回に及ぶこと、被控訴人が約11万人のフォロワーを擁する国会議員であり影響力が大きいこと、加害の意図をもって行われたこと等を考慮し、社会通念上許される限度を超える侮辱行為として不法行為の成立を認めた。慰謝料50万円及び弁護士費用5万円の合計55万円の損害賠償を認容し、原判決を変更した。