AI概要
【事案の概要】 平成29年6月に発生した東名高速道路における死傷事故(東名あおり運転事故)に関し、事故に係る行為で逮捕された男性と同姓の控訴人Aについて、被控訴人ら5名がインターネット上の電子掲示板等に、当該男性が控訴人Aの子であり、控訴人Aが代表取締役を務める控訴人B株式会社に勤務しているという虚偽の情報をそれぞれ投稿した。控訴人らは、これにより名誉ないし信用を毀損されたとして、被控訴人らに対し、不法行為に基づく損害賠償(各被控訴人につき各控訴人それぞれ55万円)を求めた。原審は被控訴人Cに対し各22万円、その余の被控訴人らに対し各16万5000円の限度で認容したところ、控訴人らが控訴し、被控訴人C・D・E・Fが附帯控訴した。 【争点】 主な争点は、①各投稿が控訴人らの社会的評価を低下させるものか、②被控訴人らの故意の有無、③損害額の相当性である。被控訴人らは、犯罪者の使用者や親族であるとの事実の摘示は社会的評価を低下させないと主張し、また投稿時に名誉毀損の故意はなかったと主張した。 【判旨】 控訴審は、控訴人らの控訴を一部認容し、附帯控訴をいずれも棄却した。まず、社会的非難の対象となっている者の肉親やその者を雇用する会社に対し、同様に社会的非難や不審の念が向けられることは我が国の現状として少なからずあるとして、各投稿が控訴人らの社会的評価を低下させるものと認定した。故意については、被控訴人らは各投稿の内容を認識して投稿しており、社会的評価を低下させることも認識し容認していたと認められるとし、刑事事件の供述調書の内容を信用し、被控訴人C・Dの原審での反対供述は信用できないとした。損害額については、控訴人らは当該男性とは全くの無関係であるにもかかわらず名誉や信用を大きく毀損されたこと、インターネット上への投稿は不特定多数の者が閲覧し拡散することが容易に予測できることから被控訴人らの責任は決して軽くないとして、原審から増額した。被控訴人Cに対し各27万5000円(慰謝料25万円+弁護士費用2万5000円)、その余の被控訴人らに対し各22万円(慰謝料20万円+弁護士費用2万円)を認容した。